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“エアパス工法は小屋裏が結露する!?”のご質問にお答えします

「自然と共生し、四季を通して健康で快適な住まいをつくること」
これが創業以来、四季工房が追求して止まない家づくりの基本です。それを支える工法の大きな柱が「エアパス工法」で、自然エネルギーを建物構造に取り入れることによって、夏は涼しく冬は暖かく、省エネで快適な室内環境を実現しています。
そのエアパス工法に関して、「小屋裏が結露するのではないか」とのお問い合わせをいただくことがあります。その点につきまして、以下ご説明いたします。

現在は全く問題ありません

弊社がエアパス工法を開発した初期に建築した住宅数十棟の小屋裏に、結露問題が発生したことは事実です。施主様方には、大変なご迷惑とご心労をおかけしました。小屋裏結露に関するご質問は、このことに起因するものと思われます。 結露問題発覚後(2006年4月ごろ)、弊社は原因追及につとめ、エアパス工法(とくに屋根部分)に大幅な改良を加えました。その甲斐あって、その後、小屋裏結露は発生しておりません。
乾燥状態も良好です(写真参照)。

ご迷惑をおかけした施主様邸につきましては、お詫び、ご説明とともに、改良工事を提案させていただきました。ご同意いただいた施主様邸は2年ほどかけて順次、屋根部分の取り替え・改良工事を実施いたしました。現在のところ、問題のない状態を保っています。

弊社の再三にわたるご提案に、残念ながらご同意を得られないまま今日にいたっている施主様がいらっしゃることも、また事実です。ご理解を賜り、1日も早く改良工事が実施できますよう、引き続き誠意をもって対応させていただく所存です。

小屋裏結露が発生した原因

弊社施工の小屋裏結露の主な原因は以下の2点です。

1.
断熱材の厚みを増やし、これに伴う工法へ変更したこと―「新・外張り断熱工法」へ
2.
野地板を合板から無垢板に切り替えたこと

【結露の原因1】
なぜ断熱材を厚くして「新・外張り断熱工法」にする必要があったのか

外張り断熱に使用されている断熱材には、「これが絶対!」というものは見当たりません。一長一短、いずれもなんらかの弱点を抱えています。
とくに以下の点は大きな問題であると思われます。

断熱材の製造時に使用する発泡剤が、地球温暖化を促進する化学物質であったことです。
外張り断熱に多く使用される硬質発泡ウレタンフォームやポリスチレンフォームの一種は、1995年頃(※1)まで発泡剤としてフロンが使われていました。
フロンがオゾン層を破壊し温暖化を加速する化学物質であることは広く知られている通りです。フロン使用を中止した後にかわって使用されていたのが代替フロンと呼ばれているハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)やハイドロフルオロカーボン(HFC)です。
これらを使った断熱材からは、少量ずつとはいえ、確実にフロンや代替フロンが抜け出しています。30年程度経過した断熱材には、初期に封入されていたフロンの1割以下しか残存していないというデータもあります(押出法ポリスチレンフォームの場合)。※2
発泡剤が抜け出すと環境に悪影響を及ぼすばかりでなく、断熱材としての性能が下がるという問題もあります。また、埋立処分の際には、代替フロンは全量空気中に放出されることになります(※3、4)。そして、石油系断熱材のリサイクルは、技術はそれぞれ開発されているものの、ポリスチレンフォーム以外はリサイクル実績を公表するまでの段階には至っていないようです。

※1 政府間国際協定(モントリオール議定書:1987年)およびオゾン層保護法(1988年制定)に基づき、フロン(CFC)の生産は1996年に全廃。
※2 平成19年環境省地球環境局「建材用断熱材フロンの処理技術」より
※3 3階建て非木造住宅(延べ床面積:1,000㎡)の解体を行う際に、フロンを含む建材用断熱材(硬質ウレタンフォームCFC11含有)のフロン回収が適正に行われないと、1世帯の一般世帯が約90年間に排出するCO2量に相当するフロンが大気中に放出されると試算されています。(平成19年環境省地球環境局「建材用断熱材フロンの処理技術」より)
※4 現在は、ノンフロン化が進み、炭酸ガスや炭化水素などが発泡剤として使用されています。しかし、フロンに比べて分子量が小さいため、樹脂内から透過しやすく経時的断熱性能の劣化が起こりやすいという欠点があります。セルの微細化、面材にアルミを使用するなどが改良点です。

エアパス工法で採用を決定した
「ビーズ法ポリスチレンフォーム」の特徴

エアパス工法は2000年に、地球環境に負担をかけず、人の健康にも問題なしと判断した“ビーズ法ポリスチレンフォーム”に全面的に切り替えました。この断熱材は石油系断熱材ではありますが、特殊な製法を用いて、水蒸気で発泡させています。発泡率が高く、大量の空気を含んだ「発泡ビーズ」が断熱性を発揮するので、上記の問題はほぼ解消できているといえます。

[長所]
①発泡剤として代替フロンなどの温室効果ガスを使用していない
②リサイクル率が90.2%と高い(2016年現在)。しかも低エネルギーでリサイクルできる技術が確立している
③カッターでカットできるなど、加工しやすく、外張り断熱材として扱いやすい

[短所]
①スチレンが含まれる 対策——-室内側には使用しないので、室内空気からは不検出
②製造後に収縮するという特性がある(300日以上で0.4%収縮)
対策——-保管倉庫で3ヶ月以上(90日~)寝かせ、状態を安定させてから使用する
③発泡剤を使用しない分、断熱性能が落ちる
対策——-厚みで補う

弊社施工による住宅の結露問題は、短所③に伴う施工改良時の対策が不十分だったために起こりました。
厚みが必要となったことから、厚い断熱材を柱と外壁材の間に入れる、または屋根垂木(やねたるき)の上に施工するのは、外壁の釘の保持力や屋根の安定性の観点から難しいと判断しました。そこで断熱材を、壁は柱と間柱の間に、屋根は垂木と垂木の間に施工する「新・外張り断熱工法」を考案しました(太い柱や屋根垂木は断熱性能があるという前提です)。

この断熱材を内入れした際に、木が少々やせて細くなり、断熱材も少しやせて縮むということが起こります。ここを甘く見たことが、とくに屋根(小屋裏)の結露につながった最大の原因です。

【結露の原因2】
屋根下地を無垢の野地板にかえたこと

わが国の住宅づくりにおいては、屋根下地にベニア(合板)を使うことが大半であるといっても過言ではありません。
弊社では2001年よりベニアから無垢の野地板にかえました。それは、
①当時、弊社では国産材(特に杉材)の利用を積極的に進めていたこと(※5)
②「合板(ベニア)は一切使わない家づくりをする」と宣言していたことという弊社の方針転換によります。

しかし、合板の屋根下地の幅が910mmであるのに対して、無垢の野地板は210mmと小幅なために、隙き間ができやすいという欠点がありました。後々わかったことですが、その隙き間から空気がもれることによって、結露が発生するという結果を引き起こしてしまいました。

合板に比べて小幅なため、施工に手間がかかり、また隙間ができやすい。
工法特性から、空気がもれるという欠点がある。

サイズが大きいので隙間ができにくい。
※5 弊社では、押入れ材、デッキ材、野地板、下地材などに国産無垢材を使用することで、国産材の利用率向上を図っています。

【原因1】【原因2】の欠点を解消し、結露を発生させない施工に改良

1)できるだけ隙間をつくらないよう丁寧に施工する
2)経年で隙間が発生する可能性がある部分は、予めブチルテープでしっかり留める(図参照)
3)さらに透湿シートで気密をとる

同時に、一般的にはほとんど対策が取られていない(※6)
屋根下地が腐るという問題にも取り組みました

加えてアスファルトルーフィングを透湿ルーフィングに切り替えるという、下記施工を併せて実施したことにより、小屋裏の結露解消のみならず、屋根下地の腐朽問題まで一挙に解決することができました。

これは、東洋大学の土屋喬雄教授グループの研究から、以下に記す一般的に行われている屋根下地(合板+アスファルトルーフィング)の問題点が発表されたことによります(※7)。

合板+アスファルトルーフィング=屋根下地が腐る(結露する)

“合板もアスファルトも湿気を通さない”ので、
・冬型結露-屋根面が冷やされ、室内(小屋裏)が暖房などで暖かい
・夏型結露-屋根面が熱せられ、室内側が冷房で冷やされる
ことによって生じる内外の気温差によって、屋根下地(合板)が結露し、かびてしまいます。そのまま数年が経過すると、合板部分はぼろぼろになり、家の寿命を大きく縮めることにつながってしまうというものです。

※6 「日経ホームビルダー」2017年6月号、特集「野地板が泣いている/潜むトラブル通気がないと築2年でも腐朽」内で、十分な通気を確保しないと築年数の浅い木造住宅でも屋根下地が腐朽した事例が紹介されています。またこの中で「透湿ルーフィングのシェアはわずか5%程度にすぎず、アスファルト系が約9割と圧倒的なシェアを占めている」と記載されています。
※7 透湿ルーフィング協会のHPでは、土屋喬雄(東洋大学工学部建築学科教授)による「結露実験結果」について記載されています。

無垢野地板+透湿ルーフィング=屋根下地の腐れ(結露)が解消される

エアパス工法では、上記施工を徹底することで、屋根材としてはほぼ完全な施工となり、乾燥状態も良好で、結露による耐久性の低下を防ぐことができ、ほぼ問題なく現在に至っています。

さらに詳しい対策を知りたい方には、当時作成したエアパス工法施工マニュアルを差し上げます。

小屋裏の状況①(宮城県利府町築2年、H24年2月撮影)


小屋裏の状況②(宮城県仙台市築11年、H29年8月撮影)

むすびに

ご迷惑、ご心配をおかけした施主様をはじめ、関係者の皆様には、改めまして心よりお詫び申し上げます。私どもが施工させていただきました住宅につきまして、不具合が生じました折には、ご遠慮なくお申し出ください。

以下に改めて弊社の基本方針をお示しいたします。
弊社は今年、創業35周年を迎えました。お客様、関係者の皆様、社員に支えられて、今日に至っております。
「住む人と地球環境に優しい家づくり」
「国産材と、職人の技をいかした家づくり」
をひたむきに追求してきた35年でした。今後とも変わることなく、家づくりを通して、木や自然の恵みに感謝し、日本の美しい自然を守り育てることの一翼を担っていく覚悟を新たにしているところです。

弊社がつくる無垢の木と自然素材の家は、日本の気候風土で培った、昔ながらの知恵と技術を生かした家。とはいえ、新しい素材や技術も否定するものではありませんし、良いと判断したものは、精査したうえで採り入れる姿勢も持ち合わせています。その狭間に内包されているさまざまな問題が、時として起こることも、このたびの結露問題で学びました。
この反省を深く心に刻み、今後ともよりよい家づくりに邁進する所存です。

どうぞこれからも末永くおつきあいくださいますようお願い申し上げます。

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