私たち四季工房の役割

エアパスグループでは加盟工務店全体の技術グレードを高く維持するために幾つもの勉強会を実施しています。今回は設計講座をレポートしました。

取材協力/エアパスグループ

継承すべき伝統と 現代のエコ住宅とは何か

エアパスグループの勉強会のうち、設計技術の基本を押さえ、レベルをアップするために開かれているのが設計講座です。講座は1年に6回、初級、中級、上級の3クラスに分けて開催されます。参加者は計80名。設計担当者の他、経営者や工事、営業担当など、他部署からも設計の基本を知っておこうと参加する人がいるそうです。
講義では毎回課題を提出、講師の建築家が全員が描いてきた図面を採点し、設計のポイントをレクチャーします。
2007年度の設計講座の講師は以下の建築家の方々。上級は吉田桂二さん、中級は小林一元さん、初級は松本昌義さんです。それぞれの皆さんは自身の設計事務所を主宰し、独立しての設計活動を営んでいます。
今回は7月に行われた講座をレポートするとともに、講師の建築家の皆さんにインタビューした、講座の目的と意義をお伝えします。
多くのコメントは吉田桂二さんからもらいました。吉田さんは1930年岐阜県生まれ。東京美術学校(現東京芸術大学)卒業後、(財)建設工学研究会・池辺研究室に入所し、当時日本を代表する建築家の一人だった池辺陽に師事します。学生時代および池辺研究室時代に大工さんから木造建築の手ほどきを受け、木の性質の見極めから墨付け、手刻み、組み方など、日本の伝統工法の何たるかを教わったと言います。
そんな吉田さんの講義は奥が深く、「日本の住宅はどうあるべきか」という普遍的なテーマとともに話をしてくれるため、受講者にとっては単にテクニカルに設計を学ぶという以上の大きな意味を持っていると思います。吉田さんにエアパスの設計講座の意義について聞いてみました。
「日本の大学の建築学科では明治以来、木造建築について教えてきませんでした。そもそも西洋建築を真似するためにつくられた学科ですから。日本建築は大工の棟梁に任せればいいという認識だったんですね。でも今やそういう時代ではありません。機械生産型の住宅が主流になって以降、伝統工法で一般の住宅をつくれる大工がいなくなっちゃったんだから。今残っている大工で日本建築の仕事が出来る人は住宅なんかは手掛けてないんですね」(吉田さん)。
そこで吉田さんは、この講座の参加者には木造住宅設計技術の習得をしてもらうのだと言います。
「今の住宅会社や工務店は部材や設備メーカーの子会社、代理店になっちゃった。出来合いの材料のカタログを揃えてそれをアッセンブルするだけですよ。私はまずカタログを捨てなさい、と言います。既製品に頼って組み合わせる家はプラモデルをつくってるのと同じです。それをやめると提案力がつく。今の多くの工務店の社長は、何がいい住宅だかわかっていない。でもこの講座を受けたら、わかるようになりますよ」(吉田さん)。
ただしこの講座の目的は、単なる伝統技術の継承だけではないと言います。
「伝統工法を教えるだけなら、文化財の保存になってしまう。伝統技術の中で今も生かすべきものは継承し、捨てるべきものは捨て、新しい日本の木造建築の設計を教えます。明日からの仕事に即戦力になる、極めて創作的な授業です」(吉田さん)。
さらには、エアパスグループとNPO地球の会という、地域に根ざして頑張る有力な工務店の代表者に技術を授けることに意味があるのだそうです。なぜなら中央に利益を吸い上げてしまう大手ハウスメーカーが流行ることは地域にとっては嬉しくありません。多くの人を使う建設は地域を潤すのに非常に重要です。
地域の工務店がメーカーのカタログに載っている既製品を使わずに、地元の工場や職人に発注して住宅をつくれば地元の業者が潤い、地域に貢献することになります。大手ハウスメーカーに負けないためにも、確かな木造技術によって、日本の気候に合ったエコロジーで心地よい家を丁寧につくっていくことが求められています。
「そのためにはたとえば、私が『広がり空間』と呼ぶ、開放的な室内にする工夫が必要です。日本の家は障子と唐紙でつながり、開けると庭とも連続して風が通るから暑い夏も涼しく過ごせたんです。こうした間取りの継承は、エコロジーになる。高気密高断熱にして24時間機械換気で空調された密閉空間にいたら、子どもは外に出たがらなくなります。部屋にこもってパソコンに向かい、社会につながった気分になってる。あるいは、家に薪ストーブなどを取り入れて、火のあることの意味も伝えたいですね。竪穴住居を家にしたのはそこで燃える火だった。囲炉裏の火が燃えていることで家族が集まったのだから、住宅から火を失ってはいけないと思います」(吉田さん)。
と、吉田桂二さんの話は縦横無尽に続きます。長く使い継げるエコロジー住宅とは何か。そして日本にどんな家をつくれば人と社会に貢献できるのか。そんなことを教えてくれる設計講座は大学でも受けることのできない、非常に貴重なレクチャーだと思いました。



 
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