
コラム
【2025年最新】住宅ローン控除の還付金はいくら戻る?初年度・2年目以降のタイミングも
この記事では、住宅ローン控除の還付金はいくら戻るのか解説します。
所得税を払いすぎた場合、確定申告によってその還付を受けることができます。
還付金についての知識を深めておけば、「所得税を払いすぎて後悔…」といった事象を未然に防げるでしょう。
この記事では、住宅ローン控除の還付金について、計算方法や注意点を解説します。
いくら戻るかのシミュレーションも行うので、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】
・住宅ローン控除の還付金とは?
・住宅ローン控除の還付金の計算方法
・住宅ローン控除の還付金はいくら戻るのか実際にシミュレーション
・住宅ローン控除における還付金の注意点
家づくりに関する疑問やお悩みはありませんか?
どんなことでもお気軽にご相談ください。
住宅ローン控除の還付金とは?

住宅ローン控除の還付金とは、年末の住宅ローン残高に応じて、納めた所得税などから一定額が戻ってくる制度です。
はじめに、住宅ローン控除の還付金の基礎知識について解説します。
・住宅ローン控除の借入上限額
・住宅ローン控除の控除期間
・住宅ローン控除の適用条件
・2022年度以降に改正された住宅ローン控除の概要
住宅ローン控除の借入上限額
令和7年度の税制改正において、住宅ローン控除の制度内容が変更されました。
新築住宅・買取再販住宅に関する制度の内容は以下のとおりです。
【新築住宅・買取再販住宅】
| 住宅の環境性能等 | 借入限度額 |
|---|---|
| 長期優良住宅・低炭素住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯:5,000万円 その他の世帯:4,500万円 |
| ZEH水準省エネ住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯:4,500万円 その他の世帯:3,500万円 |
| 省エネ基準適合住宅 | 子育て世帯・若者夫婦世帯:4,000万円 その他の世帯:3,000万円 |
| その他住宅 | 0円 |
※参考:控除 期間 借入限度額 住宅の環境性能等 2024・2025年入居 13年間(7) 長期優良住宅・低炭素住宅 ZEH(P1)|国土交通省
住宅ローン控除の借入限度額が、住宅性能と世帯属性(子育て世帯・若者夫婦世帯であるか)に応じて見直されている点がポイントです。
長期優良・低炭素住宅では最大5,000万円、ZEH水準省エネ住宅は最大4,500万円、省エネ基準適合住宅は最大4,000万円が上限となりますが、子育て世帯・若者夫婦世帯が優遇されます。
その他の住宅は、2025年時点では住宅ローン控除の対象外です。
なお、本制度における控除率は、対象となる住宅すべてにおいて一律0.7%です。
住宅ローン控除の控除期間
新築住宅・買取再販住宅における住宅ローン控除の控除期間は原則13年間です。
ただし、2024年以降に建築確認を受けた、その他の住宅(省エネ基準を満たさない住宅)は控除の対象となりません。
なお、既存住宅は10年間であり、新築か中古かによっての控除期間は異なります。
※参考1:住宅ローン減税制度について(P1)|国土交通省
※参考2:住宅:住宅ローン減税 – 国土交通省
住宅ローン控除の適用条件
住宅ローン控除の適用条件は多岐にわたり、主なポイントは以下のとおりです。
・新築または取得した日から6ヶ月以内に居住している
・住宅の床面積が50平方メートル以上である(合計所得金額が1,000万円以下の場合は、40平方メートル以上も可)
・中古住宅の場合、耐震基準を満たしていることが必要
・住宅ローンの返済期間が10年以上である
・控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下である
住宅ローン控除の適用には、居住時期や住宅の床面積、所得制限などさまざまな条件が設けられており、特に住宅性能と所得によっては控除対象外となる点に注意が必要です。
中古住宅の場合は耐震基準を満たす必要があるため、購入前に要件を確認しておくことが重要です。
高所得者以外への配慮として40㎡以上の住宅も対象となる柔軟性も見られるなど、公平性と住宅の質の向上を両立している制度といえます。
2022年度以降にされる住宅ローン控除の概要
2022年度以降の住宅ローン控除は控除率が、一律0.7%に引き下げられました。
住宅の環境性能に応じて借入限度額が変動し、長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅など性能の高い住宅ほど控除額が大きくなります。
また、子育て世帯や若者夫婦世帯には優遇措置が設けられ、最大5,000万円までの借入が対象です。
一方、性能の低い住宅は控除の対象外となるケースもあり、環境性能の高い住宅取得が促進されています。
住宅ローン控除における還付金の計算方法

住宅ローン控除の還付金は、年末のローン残高に控除率をかけて計算します。ただし、納めた所得税額が上限となるため、所得水準によって実際の還付額は変わります。
ここでは、住宅ローン控除の還付金の計算方法について解説します。
・基本的な計算方法
・控除額に余りがある場合の計算方法
基本の計算方法
住宅ローン控除の還付金の基本的な計算式は以下のとおりです。
基本の計算式:住宅ローン年末残高 × 控除率(0.7%)= 還付額(上限あり)
具体的には、以下の流れで計算していきます。
<1.年末時点の住宅ローン残高を確認する>
上限額までが対象で、たとえば長期優良住宅なら最大5,000万円となります。
<2.控除率を掛ける>
現行制度の場合、控除率は一律0.7%です。所得税で控除しきれない分は、翌年の住民税から控除されます(住民税からの控除額にも上限あり)。
控除額に余りがある場合の計算方法
住宅ローン控除で所得税から控除しきれなかった場合、残りは翌年度の個人住民税から控除されます(平成21年度改正より適用)。
控除額に余りがある場合の計算方法は、以下のとおりです。
個人住民税の住宅ローン控除額=所得税上の住宅ローン控除可能額-控除適用前の前年所得税額
※参考:所得税から住宅ローン控除額を引ききれなかった方|総務省
上限は原則、所得課税額の5%(上限9万7,500円)ですが、特定取得などの場合は7%(上限13万6,500円)となります。
住民税からの控除にあたり、市区町村への別途の申告は不要です。
確定申告や勤務先の年末調整の情報に基づき、自動的に控除が行われます。
住宅ローン控除の還付金はいくら戻るのか実際にシミュレーション

ここでは、実際に住宅ローン控除の還付金はいくら戻るのか実際にシミュレーションしていきます。
年収・借入額以外の条件は以下で設定します。
【条件】
・返済期間:35年
・金利タイプ:全期間固定
・金利:2.5%
・返済方式:元利均等返済
・住宅の種別:新築住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)
・扶養家族:2人
・属性:子育て世帯・若者夫婦世帯
・居住地:東京都
共通の条件をもとに、以下のケースでシミュレーションしていきます。
・年収300万円・借入額3,000万円の場合
・年収300万円・借入額4,000万円の場合
・年収500万円・借入額3,000万円の場合
・年収500万円・借入額4,000万円の場合
年収300万円・借入額3,000万円の場合
年収300万円・借入額3,000万円のケースで見ていきましょう。各年の住宅ローン年末残高と控除額は、以下のとおりです。
| 年 | 住宅ローン年末残高 | 控除額 |
|---|---|---|
| 2025年 | 2,986万5,475円 | 4万4,050円 ※2年目以降、控除額は毎年同額 |
| 2026年 | 2,931万8,893円 | |
| 2027年 | 2,875万8,491円 | |
| 2028年 | 2,818万3,917円 | |
| 2029年 | 2,759万4,812円 | |
| 2030年 | 2,699万809円 | |
| 2031年 | 2,637万1,534円 | |
| 2032年 | 2,573万6,598円 | |
| 2033年 | 2,508万5,605円 | |
| 2034年 | 2,441万8,151円 | |
| 2035年 | 2,373万3,816円 | |
| 2036年 | 2,303万2,177円 | |
| 2037年 | 2,231万2,795円 | |
| 13年間の合計 | 57万2,650円 | |
年収300万円・借入額3,000万円のケースでは、年末のローン残高は毎年着実に減少し、2025年の約2,986万円から2037年には約2,231万円まで減ります。
控除額は残高の0.7%が基準ですが、実際の所得税額が少ないため、住民税控除を含めても還付額は年間約4,4万円程度にとどまります。
13年間の合計控除額は約57万円となり、住宅ローン減税は年収300万円台では恩恵が限定的です。
年収300万円・借入額4,000万円の場合
次は年収300万円・借入額4,000万円の場合でシミュレーションを行います。
| 年 | 住宅ローン年末残高 | 控除額 |
|---|---|---|
| 2025年 | 3,982万632円 | 4万4,050円 ※2年目以降、控除額は毎年同額 |
| 2026年 | 3,909万1,853円 | |
| 2027年 | 3,834万4,643円 | |
| 2028年 | 3,757万8,540円 | |
| 2029年 | 3,679万3,062円 | |
| 2030年 | 3,598万7,719円 | |
| 2031年 | 3,516万2,011円 | |
| 2032年 | 3,431万5,423円/ | |
| 2033年 | 3,344万7,425円 | |
| 2034年 | 3,255万7,478円 | |
| 2035年 | 3,164万5,025円 | |
| 2036年 | 3,070万9,497円 | |
| 2037年 | 2,975万313円 | |
| 13年間の合計 | 57万2,650円 | |
年収300万円で借入額4,000万円の場合、借入額3,000万円と比較すると、控除額は両ケースとも年間の還付額はほぼ同じ水準(所得税+住民税の上限まで)にとどまることが分かります。
13年間の合計控除額はどちらも約57万円です。年収300万円台では借入額が増えても控除額の上積み効果はないといえます。
年収500万円・借入額3,000万円の場合
年収500万円で、借入額3,000万円の控除額シミュレーションは以下のとおりです。
| 年 | 住宅ローン年末残高 | 控除額 |
|---|---|---|
| 2025年 | 2,986万5,475円 | 17万5,000円 |
| 2026年 | 2,931万8,893円 | |
| 2027年 | 2,875万8,491円 | |
| 2028年 | 2,818万3,917円 | |
| 2029年 | 2,759万4,812円 | |
| 2030年 | 2,699万809円 | |
| 2031年 | 2,637万1,534円 | |
| 2032年 | 2,573万6,598円 | |
| 2033年 | 2,508万5,605円 | |
| 2034年 | 2,441万8,151円 | 17万900円 |
| 2035年 | 2,373万3,816円 | 16万6,100円 |
| 2036年 | 2,303万2,177円 | 16万1,200円 |
| 2037年 | 2,231万2,795円 | 15万6,100円 |
| 13年間の合計 | 222万9,300円 | |
年収500万円・借入額3,000万円のケースでは、年末残高が約2,986万円から2,231万円へと減少し、それに応じて控除額も毎年少しずつ減少します。
初年度は約17.5万円の控除を受けられ、その後は残高に比例して16万円前後まで低下しました。
13年間の合計控除額は約223万円となり、年収300万円の場合(約57万円)に比べて大幅に恩恵を受けられることが分かります。
収入水準が控除の実効性に直結している点が特徴です。
年収500万円・借入額4,000万円の場合
ここでは、年収500万円・借入額4,000万円の場合で控除額の推移を見ていきます。
| 年 | 住宅ローン年末残高 | 控除額 |
|---|---|---|
| 2025年 | 3,982万0,632円 | 17万5,000円 ※2年目以降、控除額は毎年同額 |
| 2026年 | 3,909万1,853円 | |
| 2027年 | 3,834万4,643円 | |
| 2028年 | 3,757万8,540円 | |
| 2029年 | 3,679万3,062円 | |
| 2030年 | 3,598万7,719円 | |
| 2031年 | 3,516万2,011円 | |
| 2032年 | 3,431万5,423円 | |
| 2033年 | 3,344万7,425円 | |
| 2034年 | 3,255万7,478円 | |
| 2035年 | 3,164万5,025円 | |
| 2036年 | 3,070万9,497円 | |
| 2037年 | 2,975万313円 | |
| 13年間の合計 | 227万5,000円 | |
年収500万円・借入額4,000万円のケースでは、初年度の控除額は17.5万円で、その後も年末残高の減少に伴い徐々に減少します。
13年間の合計控除額は約228万円で、同年収・借入3,000万円の場合(約223万円)と比べても大差はなく、借入額が増えても控除額には大きく反映されません。
控除対象は年収や所得税額によって制限されるため、借入額よりも収入水準が実際の還付額に影響するといえます。
住宅ローン控除の還付金はいつ戻るのか

住宅ローン控除の還付金は、初年度と2年目以降で受け取り方が異なります。
初年度は確定申告後に振り込まれ、2年目以降は年末調整で給与に上乗せされるのが一般的です。
ここでは、初年度と2年目以降の還付金の受け取り方について解説します。
・初年度の確定申告の場合
・2年目以降の年末調整の場合
初年度の確定申告の場合
住宅ローン控除の初年度は確定申告が必要で、この際に還付金の申請も同時に行われます。
確定申告書を提出すると税務署で内容が確認され、通常は1ヶ月から1ヶ月半程度で指定した銀行口座に還付金が振り込まれるのが一般的です。
2年目以降の年末調整の場合
住宅ローン控除は2年目以降、会社員は年末調整で行いますが、還付金が直接振り込まれるわけではありません。
会社員の場合、勤務先に必要書類を提出すると、年末調整で税額が再計算されます。
これにより、毎月の給与から源泉徴収されていた所得税の過払い分が12月や翌年1月の給与に上乗せされて支給される仕組みです。
企業によってはボーナスに上乗せされる場合もあります。
2年目以降は確定申告のように口座振込で還付されるのではなく、給与を通じて還付を受けます。
住宅ローン控除の還付金を計算する際の注意点

住宅ローン控除の還付金は所得税額を超えた場合、住民税からの控除も受けられる場合があります。しかし、年収や住宅条件によって減額や適用外となる場合がある点に注意が必要です。
ここでは、住宅ローン控除における還付金の注意点について解説します。
・所得税以上の金額は還付されない
・控除額は毎年変動する
・住宅ローン控除が適用されない場合がある
所得税以上の金額は還付されない
住宅ローン控除では、年末残高に応じて計算した控除額がそのまま全額還付されるわけではなく、実際に支払った所得税額が上限となります。
たとえば控除額が20万円でも、その年の所得税が15万円しかなければ、還付されるのは15万円までです。
超過分は翌年の住民税から控除されますが、こちらも原則は年間9.75万円、特定要件を満たす場合は年間13.65万円が上限となります。
ローン残高が多くても、納税額が少なければ、控除額が頭打ちになってしまう点に注意が必要です。
※参考:所得税から住宅ローン控除額を引ききれなかった方|総務省
控除額は毎年変動する
住宅ローン控除の還付金は毎年一定額が戻るわけではなく、住宅ローンの年末残高に応じて変動します。
返済が進むにつれて残高は減少するため、控除額も年々少なくなるのが特徴です。
また、借入額や金利の設定(固定金利または変動金利)によりローン返済の進み方が変わるため、それが控除額の減少にも影響します。
所得状況によっては所得税額の範囲内でしか控除できないため、収入の変動によっても実際の還付額は変わる点に注意が必要です。
住宅ローン控除が適用されない場合がある
住宅ローン控除は誰でも必ず受けられる制度ではなく、一定の条件を満たさないと適用されません。
たとえば、省エネ基準を満たしていない場合や床面積が50㎡未満(所得1,000万円以下は40㎡未満)、住宅ローンの返済期間が10年未満の場合などは対象外です。
中古住宅で耐震基準を満たしていない場合や、合計所得金額が2,000万円を超える場合も控除は適用されません。
したがって、住宅ローン控除を受ける場合は事前に要件を確認し、自分の住宅や収入状況が対象となるかを把握することが重要です。
住宅ローン控除の還付金に関するよくある質問

ここでは、住宅ローン控除の還付金に関するよくある質問に回答します。
・住宅ローン控除の還付金が少なすぎる原因は?
・住宅ローン控除の還付金が振り込まれない原因は?
・定額減税制度の適用によって還付金は減る?
住宅ローン控除の還付金が少なすぎる原因は?
住宅ローン控除の還付金が少なすぎる主な原因は、計算上の控除額よりも実際の所得税額が低いためです。
控除は納めた所得税額を上限として適用されるため、年収が低く所得税自体が少ないと、住宅ローン控除制度を十分に活用できません。
また、住民税からの控除も最大13.65万円までと制限があるため、借入額が大きくても還付額が思ったほど増えない場合があります。
年収や納税額が控除額に大きく左右する点を覚えておきましょう。
住宅ローン控除の還付金が振り込まれない原因は?
住宅ローン控除の還付金が振り込まれない原因としては、制度の適用要件を満たしていない場合が挙げられます。
たとえば、合計所得金額が2,000万円を超えると控除の対象外です。基礎控除や給与所得控除で所得税額が0円になると、控除額を充当できず還付もありません。
借り換えによって返済期間が10年未満となった場合や、床面積・居住要件を満たさないケースも適用外です。
収入や返済状況の変化に注意が必要です。
※参考:「住宅ローン控除」の還付金が振り込まれません! 昨年末に会社で「年末調整」を受けたのですが、なぜでしょうか…?(ファイナンシャルフィールド)|Yahoo!ニュース
定額減税制度の適用によって還付金は減る?
定額減税の適用によって住宅ローン控除の還付金が減ることはありません。
年末調整では、まず住宅ローン控除が適用された後、残りの所得税額から定額減税分が引かれます。
定額減税によって源泉所得税額が少なくなり、還付金が減ったように見えても、減税額の恩恵を受けきれない分は「調整給付」として別途支給されるため、最終的な還付額は同じ程度です。
そのため、住宅ローン控除の恩恵を受けられることになります。
住宅ローン借入時は控除額も確認しよう

住宅ローン控除は、年末のローン残高や年収、住宅性能などに応じて控除額が異なります。
2024年からは省エネ基準を満たさない住宅は原則対象外となりました。
また、金利上昇など社会情勢によって控除額が変わる可能性もあります。
マイホームの購入で住宅ローン控除の恩恵を受けるには、最新の情報を常に確認し、税理士や金融機関などにも相談しながら資金計画を立てることが重要です。
四季工房では、住宅ローンのシミュレーションも行っております。家づくりでお悩みの方は、お気軽にご相談下さい。
家づくりに関する疑問やお悩みはありませんか?
どんなことでもお気軽にご相談ください。




