
コラム
【2025年最新】住宅ローン金利の今後はどうなる?固定・変動金利の動向
2024年3月19日、日銀はマイナス金利政策を解除し金利の引き上げを決めました。
およそ17年ぶりの利上げであり、日本の金融政策は大きく転換することになります。
それに伴い、マイナス金利政策解除で懸念されているのが住宅ローン金利の上昇です。
この記事では、住宅ローン金利の今後はどうなるのか、固定・変動金利の動向を紹介します。
【この記事でわかること】
・住宅ローンの主な金利タイプ
・【2025年最新】住宅ローン金利の今後に影響するアップデート情報
・2025年以降の住宅ローン金利は今後どうなる?
・【2025年最新】住宅ローン金利推移と返済額のシミュレーション
・住宅ローン金利が上がる場合の対策
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住宅ローンの主な金利タイプ

住宅ローンの主な金利タイプは以下の3つです。
・固定金利
・固定金利期間選択型
・変動金利
はじめに、それぞれの金利タイプについて簡単に解説します。
固定金利
固定金利とは、借入時に定めた金利が返済期間中ずっと変わらない金利方式です。
主に住宅ローンなどで利用され、金利変動による返済額の増減リスクを避けられる点がメリットです。
将来の支出計画が立てやすく安心感がありますが、変動金利より初期金利は高めですが、市場金利が下がってもその恩恵は受けられません。
安定的に返済したい方に適しています。
固定金利期間選択型
固定金利期間選択型とは、住宅ローン契約時に2年、5年、10年など一定期間の金利を固定する方式です。
固定期間中は返済額が一定で安心感があります。
期間終了後は、再び固定期間を選ぶか変動金利に切り替えるか選択することが可能です。
ただし、固定期間終了後はその時点の金利で金利タイプを選択し直すため、将来の返済額が変動するリスクがあります。
金利動向を注視することが必要です。
変動金利
変動金利は、経済情勢に応じて金利が変動する住宅ローンです。
通常は半年に一度見直され、金利が下がれば返済額も減少するメリットがあります。
しかし、金利が上昇すれば返済額も増えるリスクがあるのがデメリットです。
毎月の返済額は5年ごとに見直され、急激な金利上昇時でも、返済額は直前の125%を上限とするルールが適用されます。
変動金利を選ぶ際は、金利上昇に備えた計画的な返済を行いましょう。
【2025年最新】住宅ローン金利の今後に影響するアップデート情報
2025年は日銀の金融政策に注目が集まる中、住宅ローン金利の先行きにも変動の兆しが見られます。
ここでは、住宅ローン金利の今後に影響するアップデート情報を紹介します。
・米国の景気状況
・日銀の金融緩和政策
・日銀が追加利上げを決定
米国の景気状況
2025年9月現在、米国経済には景気減速の兆しが見られる状況です。
企業の景況感が低下しており、これまで景気をけん引してきたサービス消費も鈍化しています。
関税引き上げの影響で物価は高水準が続き、家計や企業の支出抑制につながっています。
この傾向は年末にかけて続くと見られ、2025年の実質GDP成長率は1%台前半にとどまる予想です。
ただし、2026年以降はFRBの利下げ効果などで緩やかに回復に向かうと見られています。
※参考1:米国景気概況(2025年9月)|三菱UFJリサーチ&コンサルティング
※参考2:【2025~26年度米国経済見通し】米国景気は本年減速、来年持ち直し ~ Tariffs Ain’t Constructive Option ~|日本総研
日銀の金融緩和政策
2025年9月現在、日銀は政策金利を据え置くと見られています。
市場では年内の利上げ観測がくすぶるものの、日銀は米国の関税政策や国内景気の不確実性を背景に、慎重な姿勢を崩していません。
日銀の植田総裁は、経済や物価の見通しの確度を慎重に見極める考えを示唆すると予想されます。
今後、国内外の経済動向や政局の安定次第では、利上げの時期が早まる可能性もあるでしょう。
※参考:2025年9月日銀政策会合プレビュー~今回の注目点を整理する|三井住友DSアセットマネジメント
日銀が追加利上げを決定
2025年1月、日銀は金融政策決定会合で政策金利を0.5%に引き上げる追加利上げを決定しました。これは、2008年以来17年ぶりの高水準です。
植田総裁は、賃金と物価の上昇が持続し、日銀の見通し実現の確度が高まったことが利上げの理由だと説明しました。
今後も経済や物価の見通しが実現すれば、さらなる利上げを検討する姿勢を示しています。
2025年以降の住宅ローン金利は今後どうなる?

2024年3月19日に、日銀がマイナス金利政策解除を発表したことから、住宅ローン金利が上昇するのではないかという懸念の声が聞こえてきます。
・固定金利の今後はどうなる?
・変動金利の今後はどうなる?
ここでは、2025年以降の住宅ローン金利は今後どうなるのかについて解説します。
固定金利の今後はどうなる?
日銀がマイナス金利政策を解除したことにより、固定金利に関してはすでに引き上げる動きが出ています。
固定金利は長期金利の影響を受けやすいため、日銀が短期・長期の両方で金利の調整を行った場合、長期金利が上昇する可能性が考えられます。
ここ5年間の国債金利(10年物)・長期プライムレートの推移を見ておきましょう。
| 10年物国債金利 | 2021年8月 | 2022年8月 | 2023年8月 | 2024年8月 | 2025年8月 |
| 0.022% | 0.19% | 1.046% | 0.104% | 1.56% | |
長期プライムレート | 2020年8月 | 2022年9月 | 2023年9月 | 2024年9月 | 2025年9月 |
| 1.00% | 1.25% | 1.45% | 1.70% | 2.30% |
※参考2:長・短期プライムレート(主要行)の推移 : 日本銀行 Bank of Japan
データを見ると、10年物国債利回りは2021年8月の0.02%から2025年8月には1.56%へと上昇し、日銀の金融緩和縮小やインフレ期待の高まりを反映しています。
また、長期プライムレートも2020年の1.00%から2025年には2.30%へと上昇し、企業の資金調達コストが増加傾向にあります。
これにより、住宅ローン金利や企業投資にも影響が広がっている状況です。
10年物国債利回りの上昇は、固定金利型住宅ローンに直結します。
国債利回りが1.5%台まで上昇していることから、今後も固定型住宅ローン金利は上昇圧力が強まり、借入コストが高まる傾向です。
一方、長期プライムレートの上昇は民間銀行の融資基準金利を押し上げるため、変動金利型ローンにも影響が及ぶ可能性があります。
特に2025年の2.30%は過去数年で大きな上昇幅となっており、将来の返済額増加リスクが高まる状況です。フラット35のような長期固定型住宅ローンの金利に影響を与えるでしょう。
つまり、今後の住宅ローン金利は、固定型・変動型ともに上昇基調となり、借入希望者にとっては早めの金利確定や返済計画の見直しが重要です。
変動金利の今後はどうなる?
変動金利は、住宅ローン利用者の多くが選んでいる金利タイプで、固定金利より低い水準が魅力です。
しかし、日銀が2025年1月に政策金利を 0.5%へ引き上げたことで、変動金利の上昇懸念が高まっています。
短期プライムレートは、2024年の1.475%から 2025年3月に1.875%へ引き上げ られ、変動金利の基準となる金利も上昇しました。
多くの金融機関は「短プラ+1%」を基準にしているため、変動金利の基準金利は現在、2.875%前後となっています。
そのため、以前のように大幅な上昇は起こりにくいとは言えず、今後も政策金利や市場金利の動向次第でさらに上がる可能性があり、返済計画には注意が必要です。
※参考1:長・短期プライムレート(主要行)の推移|日本銀行 Bank of Japan
※参考2:添付資料|三菱UFJ銀行
【2025年最新】住宅ローン金利推移と返済額のシミュレーション

住宅ローン金利は上昇が続き、返済負担への影響が拡大しています。
ここでは、住宅ローン金利推移と返済額のシミュレーションについて解説します。
・変動金利の金利推移
・フラット35の金利推移
変動金利の金利推移
はじめに、変動金利の金利推移を見ていきます。三井住友銀行における5年間の変動金利の推移をまとめた表は以下のとおりです。
| 適用期間 | 変動金利 |
|---|---|
| 2025年9月 | 2.875% |
| 2024年9月 | 2.475% |
| 2023年9月 | 2.475% |
| 2022年9月 | 2.475% |
| 2021年9月 | 2.475% |
参照すると、三井住友銀行の変動金利は2025年に上昇していることがわかります。
2021年から2024年にかけては横ばいでしたが、2024年10月には2.625%に上がり、2025年4月からはさらに2.875%に上昇しています。
【変動金利の返済シミュレーション】
ここでは、最新の金利を使用した場合の返済シミュレーションを以下の条件で行います。
・借入金額:3,000万円
・返済方法:元利均等
・金利:2.875%
・借入期間:35年
・金利タイプ:変動金利
・ボーナス払い:なし
上記の条件で借入した場合、毎月の返済分と支払う金利は以下のようになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 毎月返済分 | 11万3,372円 |
| 総返済額 | 4,761万6,207円 |
| 支払う金利 | 1,761万6,207円 |
住宅ローン利用者の返済負担は確実に増加しており、今後も金利情勢や政策判断によってさらに上昇する可能性があります。
そのため、慎重な返済計画や固定金利との比較検討が重要になると言えます。
フラット35の金利推移
フラット35の借入金利の推移は以下のとおりです。
【フラット35の借入金利の推移】
| 対象年 | 金利 |
|---|---|
| 令和3年4月 | 1.370〜2.170% |
| 令和4年4月 | 1.440〜2.540% |
| 令和5年3月 | 1.960〜3.270% |
※参考:【フラット35】借入金利の推移|住宅金融支援機構
上記のデータから、フラット35の借入金利は近年上昇傾向にあることがわかります。
令和3年4月の1.370〜2.170%から、令和4年4月には1.440〜2.540%へ上昇し、令和5年3月には1.960〜3.270%で一段と拡大しました。
【フラット35の返済シミュレーション】
ここでは、最新の金利を使用した場合の返済シミュレーションを以下の条件で行います。
・借入金額:3,000万円
・返済方法:元利均等
・金利:3.270%
・借入期間:35年
・金利タイプ:固定金利
・ボーナス払い:なし
上記の条件で借入した場合、毎月の返済分と支払う金利は以下のようになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 毎月返済分 | 12万22円 |
| 総返済額 | 5,040万9,426円 |
| 支払う金利 | 2,040万9,426円 |
2025年時点では、変動金利より多めの金利を支払う可能性が高いですが、固定金利の場合はさらに金利上昇するリスクはないため、安定した資金計画を実行できます。
住宅ローン金利が上がる場合の対策

変動金利や固定期間選択型の住宅ローンを利用している人にとっては、金利上昇リスクを避けられません。
ここでは、住宅ローン金利が上昇した場合の対策について解説します。
・借り換えを検討する
・繰り上げ返済を検討する
・金利が上がる前提でシミュレーションしておく
・キャッシュフロー表を作成する
借り換えを検討する
借入している金融機関より低金利の住宅ローンを提供している金融機関に借り換えることで、毎月の返済額を下げられます。
ただし、借り換える場合には事務手数料や登記費用が必要となるため、諸経費も含めて得するかどうかを検討しましょう。
現在はネット銀行を中心に金利競争が激化し、かなり低い金利で借入できる場合もあります。
金利上昇の気配が感じられたら、借り換えを検討してみるのも1つの方法です。
繰り上げ返済を検討する
繰り上げ返済も金利上昇リスクを軽減する効果的な方法の1つです。
残債を一度に残額返済できれば全く問題ありませんが、住宅ローンは借入規模も比較的大きいため、一括で返済することは困難です。
そのため、元金の一部を無理のない範囲内で返済する繰り上げ返済を検討する人が多くなっています。
繰り上げ返済には、返済期間短縮型と返済額軽減型の2種類があります。
返済期間短縮型
返済期間短縮型は、毎月の返済額を変えずに、繰り上げ返済した分だけ返済期間(年数)を軽減する方法です。
返済年数が軽減することで支払う金利も軽減されるため、総支払金額が低く抑えられるメリットがあります。
しかし、金利上昇局面においては、毎月の返済額も上昇するため、短縮する返済年数と毎月の返済額のバランスを調整する必要があります。
返済額軽減型
返済額軽減型は、返済期間を変えずに、毎月の返済額を軽減する方法です。
返済年数が変わらないため返済期間短縮型に比べて総支払額は多くなりますが、毎月の返済額を軽減できるメリットがあります。
金利上昇局面では、毎月の返済額を軽減すると捉えるより、金利上昇分を抑えて現在と同額の返済額を維持する方法と捉えたほうがよいでしょう。
金利が上がる前提でシミュレーションしておく
金利が上昇することを前提に、各金融機関のウェブサイトを利用しながら住宅ローンのシミュレーションを実施しましょう。
返済を始めてから経過した年数や残債額を明確にして、金利が上昇する幅を設定することが重要です。
残債が多くい人ほど、金利が上昇した場合の月額負担額が大きくなることが実感できるでしょう。
予測に基づいて事前に繰り上げ返済計画や貯蓄計画を立てておくことをおすすめします。
キャッシュフロー表を作成する
上記のシミュレーションと合わせて、金利が上がった場合のキャッシュフロー表を作成すると、金利上昇による家計への影響を把握できます。
キャッシュフロー表とは、毎年の収入と支出、貯蓄額を算出して収入状況をチェックし、悪化した場合は原因を究明できるツールです。
支出項目などを細かく規定するほど、支出が家計を圧迫しているのかを明確に把握できます。
住宅ローン返済に充てる支出額を、金利が上昇した場合の予測数値に変更してみて、どれだけ収支が悪化するかチェックしましょう。
その上で、どの支出を減らせるか、どの収入を増やすかなどを事前に検証しておくことが重要です。
住宅ローン金利の今後に関するよくある質問

ここでは、住宅ローン金利の今後に関するよくある質問に回答します。
・金利における10年後の予想は?
・住宅ローン金利が今後上がる可能性はある?
・変動金利は今後上がらないって本当?
順番に見ていきましょう。
住宅ローン金利における10年後の予想は?
日銀はマイナス金利政策解除を発表後、声明文で、「当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」と記しています。
マイナス金利を終えた後も緩和的な環境が続くと強調していることから、「おそらく短期プライムレートの引き上げは広がらないのではないか」といわれています。
みずほ銀行頭取である、加藤勝彦全国銀行協会会長も14日の記者会見で、「マイナス金利が解除されても必ずしも短プラが上がるということではない」と語っていました。
ただし、日銀が今後も利上げを継続すれば金利が上昇する可能性があります。
10年後には大幅な利上げではないにしても、緩やかに上昇していることは考えられます。
※参考:住宅ローンどうなる? 変動金利の急な引き上げに配慮|日本経済新聞
住宅ローン金利が今後上がる可能性はある?
マイナス金利政策解除が実行されても、変動金利は急激に上がることはないといわれています。
今後も緩和的な動きが継続するという見方から、しばらくは低い金利が続くでしょう。
ただし、今後、日銀が利上げすれば、変動金利は緩やかに上昇していく可能性があります。
実際に、固定金利では長期金利の上昇傾向を受けて、すでに引き上げる動きがあります。
そのため、新規に住宅ローンを組む際は、今後の金利の動きに注意しながら借入しましょう。
※参考:日銀マイナス金利政策解除 住宅ローン変動型や固定型どうなる 預金 企業の資金調達は |NHK
変動金利は今後上がらないって本当?
変動金利は当面大幅な上昇はないと見込まれていますが、市場の動向により上がる可能性もあります。
基準金利は、今後日銀が追加利上げをすれば上昇することが考えられるため、金利の動向をチェックすることが必要です。
住宅ローン金利は今後を考えながらシミュレーションしよう

2025年9月現在は、金利を上げたくても上げられない状態にあるといえます。そのため、現時点で期間限定型の固定金利を選択することはあまりおすすめできません。
仮に10年間金利が固定されたとしても、10年経過したあとの金利下げ幅は今までの10年間に比べてかなり小さい商品が多いからです。
10年後に金利が上昇した場合、さらに毎月の負担が大きくなるため、固定金利を選択したい場合は、全期間固定型も合わせて検討するようにしてください。
今後、堅実に住宅ローンを返済していくためには、国内・海外の情勢をチェックしながら金利上昇した場合に備えて自らシミュレーションしておくことが大切です。
仮に金利が上昇しても、シミュレーションに基づいた収入アップや貯蓄などで繰り上げ返済できるように準備しましょう。
四季工房では、住宅ローンの相談会も行っています。借り換えや繰り上げ返済を考えている人はお気軽にショールームへお越しください。
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