コラム
住宅ローンの金利タイプまとめ-固定・変動の特徴をわかりやすく解説-
家を購入するときに、住宅ローンの利用は欠かせない存在です。
住宅ローンには金利タイプの種類があり、ローンを借りるときにはどれか一つを選ばなければなりません。
しかし「お金の話は難しそう」と敬遠される人もいるかと思います。
今回はそんな人のために、住宅ローンの金利タイプのメリット・デメリットなどを分かりやすく解説いたします。
住宅ローンの金利タイプとは
住宅ローンを借り入れるときに重要となるのは金利タイプです。
金利タイプには借入期間内の金利が変動しないものから、金利が変動する、または両方の性質をもつタイプがあります。
ここでは以下の3つの金利タイプについて解説します。
・全期間固定金利型
・固定金利期間選択型
・変動金利
それぞれ詳しく解説します。
全期間固定金利型
全期間固定金利型とは借入期間内の金利が返済するまでずっと固定されるタイプの金利です。
借り入れたときからローンを完済するまで、契約時の金利で返済します。
固定金利期間選択型
固定金利期間選択型は借り入れてから2〜20年などの一定期間の金利が固定されるタイプの金利です。
例えば「借りた当初3年間の金利は〇%」などが固定金利期間選択型に該当します。
変動金利型
変動金利型は借りている期間中でも経済情勢に応じて、金利が見直されるタイプの金利です。
通常半年に一度金利が見直されて、金利変動の影響を受けます。
住宅ローン金利タイプ別のメリット
住宅ローンの金利タイプはそれぞれメリットがあります。
ここでは以下の3つのメリットを解説するので、メリットと比較して利用するローンを決めましょう。
・全期間固定金利型のメリット
・固定金利期間選択型のメリット
・変動金利型のメリット
それぞれ詳しく解説します。
全期間固定金利型のメリット
全期間固定金利型のメリットは金利の変動がないため、返済計画が立てやすいことです。
さらに、金利が低いタイミングで契約すると最終支払いまで低金利で、お得にローンを返済できます。
固定金利期間選択型のメリット
固定金利期間選択型のメリットは金利の返済額は固定でき、変動金利型のような「未払利息」のリスクもありません。
未払利息とは変動金利型のローンに起こることで、利息が返済額を上回って未払いになることです。金利の上昇が激しいと未払利息が発生します。
固定金利期間選択型にはこのようなことは起こりません。
変動金利型のメリット
変動金利型は借り入れたあとに市場金利の低下に伴って返済額が減少します。
また半年に一度金利が見直されるので、市場金利が低くなればすぐに金利に反映されローンの返済額を少なくできます。
住宅ローン金利タイプ別のデメリット
住宅ローンの金利タイプはメリットだけでなく、デメリットも存在します。
ここでは以下の3つの金利タイプのデメリットを解説します。
・全期間固定金利型のデメリット
・固定金利期間選択型のデメリット
・変動金利のデメリット
デメリットを押さえてローン選びに活かしましょう。
全期間固定金利型のデメリット
全期間固定金利型の住宅ローンは他の金利タイプに比べると、金利が高めに設定されています。
固定金利期間選択型のデメリット
固定金利期間選択型のローンでは固定期間が終了したあとに再度金利タイプを選択します。
そのため、最初にローンを組んだ時点では後々の返済額は分かりません。
また金利が変動する幅や返済額の上限は決められていないので、市場金利が大幅に上がれば、返済額も膨らみます。
変動金利型のデメリット
変動金利型では市場金利が下がれば返済額も少なくなりますが、反対に市場金利が上がってしまえば返済する金額も大きくなります。
さらに金利が大きく上昇してしまえば、未払利息が発生する可能性もあります。
また、金利が随時変動するためローンを組んだ時点で、いくら返済すればいいかは分かりません。
住宅ローンの借入先の選択肢
住宅ローンは借り入れ先もそれぞれ異なり、主な借入先は3つあります。
その3つとは民間ローンとフラット35と財形住宅融資です。
住宅ローンと聞けば金融機関から借りると思いがちですが、実際には複数の借入先から選んで組めます。
まずは以下に、それぞれの借入先の特徴をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
借入先 | 特徴 |
---|---|
民間ローン | 銀行など民間金融機関が融資する借入先 |
フラット35 | 民間金融機関と住宅金融支援機構が融資する借入先 |
財形住宅融資 | 自治体など住宅金融支援機構が融資する借入先 |
どの借入先を選ぶかで返済計画も変わるため、まずは民間ローンかフラット35か財形住宅融資かのどれを選ぶか考えてみましょう。
民間ローンは多くの民間金融機関が提供していることもあり、豊富な金融商品が用意されています。
その一方、フラット35は金利が固定されていて事務手数料や保証料がかかりません。
その他、財形住宅融資は一定の条件を満たした人のみが借り入れできるもので、融資手数料などがかかりません。
このように借入先だけでもそれぞれ大きな違いがあります。
多くの方は適当に借入先を選んでしまいがちですが、固定金利ならフラット35が有利で変動金利なら民間ローンが有利という状況もあります。
そのため、住宅ローンを契約する際の時勢も考える必要が出てくるでしょう。
こればかりは素人で判断するのが難しい面も多いため、住宅ローンに詳しい専門家などの意見を参考にすると良いです。
特に借入先ごとに綿密な試算が必要となります。
そのため、数年、数十年先のことも考えて返済計画を立てていくことは素人には少しハードルが高いです。
可能な限り専門家に試算してもらい、完済後の生活まで思い描くよう工夫してみましょう。
借入先別のメリット・デメリット
借入先によってもメリット・デメリットがあるため、選ぶ際にはきちんと目を通しておくことが重要です。
以下に、それぞれの借入先ごとのメリットとデメリットについて簡単にまとめます。
借入先 | メリット | デメリット |
---|---|---|
民間ローン | 選択肢が多い | 審査がある |
フラット35 | 保証料がかからない | 選択肢が少ない |
財形住宅融資 | 融資手数料がかからない | 申し込みに条件がある |
民間ローンの場合は同業他社との競争も激化している背景があり、多くの金融商品を扱っています。
そのため、単に住宅ローンとは言っても選択肢が多いです。
その一方で、事前審査や本審査などの審査がある点に注意が必要となります。
また、フラット35は保証会社を利用しないため、保証料がかかりませんが、選択肢が少ない点については注意が必要です。
その他、財形住宅融資は融資手数料がかかりません。
それだけではなく、実は保証料もかかりません。ただ、申し込みには条件があります。
一見するとどの借入先も似通っているように感じますが、それぞれ違いもあります。
特に、どの借入先を選ぶかによって返済計画が変わってくるため、契約しようと考えている借入先ごとにシミュレーションしてから判断してみてはいかがでしょうか。
住宅ローンの借り入れ方法の種類と注意点
住宅ローンは借り入れ方法によっても違います。
特に借り入れ方法も3つほどあり、ペアローンや連帯債務、連帯保証などがあります。
それぞれどのような借り入れ方法を選択するかによってリスクも異なるため、十分に比較検討して判断しましょう。
以下、簡単に住宅ローンの借り入れ方法の特徴をまとめてみました。
まずは、こちらを参考にしてみましょう。
借り入れ方法 | 特徴 |
---|---|
ペアローン | それぞれの配偶者が個別に契約する借り入れ方法 |
連帯債務 | 契約者1人と連帯債務者による借り入れ方法 |
連帯保証 | 契約者1人と連帯保証人による借り入れ方法 |
住宅ローンを組む際、もし夫婦で生活するということであればペアローンで借りられます。
ペアローンはそれぞれの配偶者が個別に住宅ローンを契約する借り入れ方法です。
そのほか、契約者1人と連帯債務者による借り入れ方法の連帯債務、契約者1人と連帯保証人による借り入れ方法の連帯保証などがあります。
特に連帯債務や連帯保証の場合、それぞれ連帯債務者や連帯保証人を立てなくてはならないのが特徴となります。
原則としてこれらの借り入れ方法は自分で選択できるのですが、状況によっては契約できないこともあるので注意しましょう。
たとえば、ペアローンに関しては当然ながら単身者の場合は活用できません。
あくまでも夫婦で利用するものなので、独身の方はどうしても契約できないという特徴があります。
また、連帯債務や連帯保証も同じです。
それぞれ連帯債務者や連帯保証人になってくれる人がいなければ、契約することは難しいでしょう。
契約に関しては条件があるため、どの条件に当てはまるのかということを事前に確認することが必要です。
これら借り入れ方法に関しては、シンプルに一家の大黒柱が契約者本人となることも多いです。
近年では、男性だけではなく女性が収入の根幹を担っているという家庭も多い傾向にあります。
そのため、ご自身がどの条件に当てはまるのかを検討しながら住宅ローンを借り入れましょう。
借り入れ方法別のメリット・デメリット
住宅ローンの借り入れ方法はそれぞれメリットもあればデメリットもあります。
正直なところ「これを選べば完璧」というものはないので、ご自身が理想とするものはどれか考えながら選んでいくと良いでしょう。
ここからはその参考にしていただけるよう、借り入れ方法ごとのメリット・デメリットをまとめます。
借入方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ペアローン | 夫婦それぞれ控除できる | 諸費用が2倍になる |
連帯債務 | 連帯債務者も控除できる | 取り扱う金融機関が少ない |
連帯保証 | 借入額が増やせる | 連帯保証人は制約がある |
ペアローンは夫婦それぞれ住宅ローンを組むことになるため、夫婦それぞれ住宅ローン控除を受けられます。
当然、諸経費も2倍とはなってしまうものの、共働きの家庭が増えている昨今、人気の借り入れ方法となっています。
また、連帯債務は契約者だけではなく連帯債務者も住宅ローン控除が受けられるのが魅力です。
扱いとしては契約者と連帯債務者が同列なので、住宅ローン控除の恩恵も大きいでしょう。
ただし、取り扱う金融機関が少ないのが欠点です。
そのほか、連帯保証は借入額が増やせるのが利点です。
返済能力が契約者だけではなく連帯保証人の分も含められるため、多額の住宅ローンでも借り入れ可能な場合があります。
ただし、契約者と連帯保証人は同列という扱いではないため、減税や団体信用生命保険への加入ができません。
どの選択肢を選ぶかによって借り入れ方法も結果が変わるため、それぞれの状況に合わせて選択していきましょう。
住宅ローンの金利タイプの選び方
上記のように住宅ローンには主に3つの金利タイプがあり、その中から選びます。
しかし、どれも一長一短なので、いざ借りるとなると迷ってしまうこともあるでしょう。
ここでは以下の家計の状況に合わせた選び方について解説します。
・教育費が10年以上かかる場合
・家計にほとんど余裕がない場合
・夫婦共働きで資金に余裕がある場合
状況に合わせて金利タイプを選択しましょう。
教育費が10年以上かかる場合
まだお子さんが小さく、小学生だと教育費は10年以上かかってしまいます。
また教育費は高校・大学でピークを迎えます。
変動金利型を選択して、金利が高くなるタイミングと教育費のピークを迎えるタイミングがかぶってしまうと家計が不安定になってしまうことがあります。
そんな方には、固定金利期間選択型がおすすめです。
支出のピークが終わるまでは金利を固定して、教育費などに備えておきましょう。
家計にほとんど余裕がない場合
家計にほとんど余裕がないという人には全期間固定金利型がおすすめです。
なぜなら、家計にほとんど余裕がないという場合には、金利が上昇して返済額が増える変動金利型では家計が不安定になるからです。
全期間固定金利型を利用すると金利が少し高くなってしまいますが、安定してローンの返済をすることができます。
夫婦共働きで資金に余裕がある場合
夫婦二人とも働いていて資金に余裕がある人には変動金利型がおすすめです。
もし金利が上昇したとしても対応でき、金利が下がったときにも恩恵を受けることができます。
住宅ローンの金利タイプに関するよくある質問
住宅ローンは多額の現金が関わることなので慎重に決めていきたいですよね。
ここでは住宅ローンの金利タイプに関してよくある下記の質問を紹介します。
・住宅ローン金利が上がる時期はいつ?
・住宅ローンの審査事情はコロナの影響でどう変わった?
・住宅ローンは変動金利と固定金利どっちを選んだ人が多い?
それぞれ詳しく解説します。
住宅ローン金利が上がる時期はいつ?
変動金利型のローンでは金利が変化するので、将来金利が上がると不安という人もいるかも知れません。
あくまで予想の範囲ですが、これからも低金利のまま安定すると言われています。
国内のインフレ率、コロナの状況、日米の金融政策を踏まえるとアメリカの金利上昇に伴って、ローンの金利が上がる可能性はあります。
特に影響を受けるのは固定金利で、変動金利型ではありません。変動金利型ローンは短期金利の影響を受けているのですが、日本銀行から強力にコントロールされているため、金利が上がりにくいです。
一方、全期間固定金利型のローンは長期金利である国債の影響を強く受けるため、こちらの金利が上がりやすいという意見があります。
住宅ローンの審査事情はコロナの影響でどう変わった?
コロナ禍において住宅ローンの審査基準は若干変化していますが、厳しくなるよりも融資率制限の撤廃や審査基準の緩和が行われています。
むしろ住宅ローンが借りやすい状態が継続しているといえるでしょう。
住宅ローンは変動金利と固定金利どっちを選んだ人が多い?
上記で解説した通り、ローンの種類は一長一短でメリットとデメリットが存在します。
ご自分の家庭状況に合わせて、より合う金利タイプを選んでいただきたいですが、中には選び切れないという人もいるでしょう。
金利タイプは3種類ありますが、ほとんどの人が変動金利型を選択しています。
割合でいうと約60%が変動金利型、約25%が固定金利期間選択型、残りの約15%が全期間固定金利型です。
つまり、ほとんどの人が「金利が安い」変動金利型を選択しているので、資金がかなり不安という人以外は変動金利型を選択してもいいかも知れません。
まとめ:住宅ローンの金利タイプを知り無理のない返済を
住宅ローンのタイプは「全期間固定金利型」「固定期間選択型」「変動金利型」と3つの金利タイプがあります。
その中でも、特に変動金利型のタイプは約6割の人が選択していて、金利が安いことが特徴です。
今後変動金利型の金利は上がりにくいとは一部で言われていますが、絶対ではありません。
将来を見据えて正しい金額を住宅ローンで借り入れましょう。
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