コラム

コラム

【2023年】住宅ローン金利の今後はどうなる?固定・変動金利の動向を解説

欧米の金利上昇に応じて、国内の住宅ローン金利も上昇するのではないかと気になっている人も少なくありません。

2022年12月下旬に長期金利の変動許容幅が0.25%から0.5%に拡大されて以降、固定金利は上昇傾向にあります。

さらに、2023年7月には日銀が最新の方針を表明し、最大1.0%までの上昇は容認するとしています。

この記事では、住宅ローン金利における2023年10月以降の動向や上昇した場合の対策について詳しく解説していきます。

※参考1:日銀 長期金利の変動幅の運用を柔軟化 0.5%の上限超え容認|NHK|日本銀行(日銀)
※参考2:「影の長期金利」1%到達 金利上昇で「ゆがみ」の兆し|日本経済新聞

【この記事でわかること】
・固定金利・変動金利それぞれの指標
・住宅ローン金利における今後の動向
・住宅ローン金利が上昇する場合の対処法

そもそも住宅ローンにおける指標の違いとは?

ここでは、住宅ローンの指標について固定金利・変動金利に分けて解説します。

住宅ローンの指標とは、具体的にいうと「住宅ローンの金利は何を基準にして決められているか」です。

以下の2つの金利について住宅ローンの指標を解説していきます。

・固定金利
・変動金利

それぞれ見ていきましょう。

固定金利

住宅ローンの固定金利は、10年物国債などに代表される長期金利を指標として決定されます。

長期金利を指標として各金融機関の基準金利(店頭金利)が決められたあと、各金融機関の金利引き下げ幅が適用されて貸出金利が決まります。

最終的な貸出金利の違いは、各金融機関の金利引き下げ競争の結果によって生じるものと理解しておきましょう。

変動金利

住宅ローンの変動金利は、日銀が決定する政策金利の影響を強く受ける短期金利を指標として決定されます。そのため、政策金利の影響を強く受けるといえます。

短期金利を指標として各金融機関が基準金利(店頭金利)を決めて、最終的に貸出金利を決定する流れは固定金利と同様です。

変動金利の動向については、政策金利の動向を左右する消費者物価指数や日銀の金融政策などを日々チェックしましょう。

住宅ローン金利の今後はどうなる?

ここでは、住宅ローン金利における今後の動向や、住宅ローン金利が今後上がるかどうかを見極めるポイントについて、固定金利と変動金利に分けて解説します。

・固定金利の今後はどうなる?
・変動金利の今後はどうなる?

それぞれ見ていきましょう。

固定金利の今後はどうなる?

結論からいえば、2023年10月以降も固定金利の上昇傾向は継続する可能性が高いといえます。

固定金利上昇のきっかけは、2022年12月に日銀が長期金利の誘導上限を0.25%から0.5%に引き上げたことです。

ここ5年間の国債金利・長期プライムレートの推移をみておきましょう。

10年物国債金利2019.1月2020.1月2021.1月2022.1月2023.1月2023.10月
▲0.023%▲0.025%0.033%0.104%0.491%0.811%

長期プライムレート
2019.7月2020.4月2022.2月2022.9月2023.1月2023.10月
0.95%1.10%1.10%1.25%1.50%1.50%
出典:財務省国債金利情報|財務省
出典:日本銀行長期プライレート|日本銀行

2022年12月に長期金利の変動許容幅が0.5%に拡大されて以降、2023年1月に国債金利が一気に上昇しています。

それに伴って長期プライムレートも上昇していることが分かるでしょう。

また、7月の政策決定後は0.8%まで上昇しており、長期金利に連動している固定金利については、多くの金融機関で金利の引き上げが実行されました。

こうした状況を踏まえると、今後の先高観はしばらく続くと考えられるため、固定金利上昇傾向も継続するものと考えておきましょう。

※参考:日銀 長期金利の変動幅の運用を柔軟化 0.5%の上限超え容認|NHK|日本銀行(日銀)

変動金利の今後はどうなる?

変動金利の場合は、2023年度中に金利が上がる見込みは少ないといえます。

なぜなら、変動金利は短期金利を指標としており、長期金利の変動許容幅の増加に影響を受けないからです。

政策決定でも日銀が低金利政策の維持を表明しており、低水準で推移しています。

また、短期金利は良好な経済状況が継続し、かつ実効性の伴う持続的な賃金の上昇が認められなければ、すぐに上昇することはありません。

大企業の中で賃金上昇を発表するところも出てきていますが、中小企業全てに至るまで賃金を上げられる状況にはまだ至っていません。

こうした状況を踏まえると、現時点で短期金利が上がる可能性は低いといえるでしょう。

※参考1:日銀の金融緩和修正を解説。住宅ローン金利への影響を考える(2023.7)|モゲチェック
※参考2:​​長・短期プライムレート(主要行)の推移|日本銀行 Bank of Japan

住宅ローン金利が上がる場合の対策

変動金利や固定期間選択型の住宅ローンを利用している人にとっては、金利上昇リスクを避けられません。

ここでは、住宅ローン金利が上昇した場合の対策について解説します。

・借り換えを検討する
・繰り上げ返済を検討する
・金利が上がる前提でシミュレーションしておく
・キャッシュフロー表を作成する

順番に、見ていきましょう。

借り換えを検討する

借入している金融機関より低金利の住宅ローンを提供している金融機関に借り換えることで、毎月の返済額を下げられます。

ただし、借り換える場合には事務手数料や登記費用が必要となるため、諸経費も含めて得するかどうかを検討しましょう。

現在はネット銀行を中心に金利競争が激化し、かなり低い金利で借入できる場合もあります。

そのため、金利上昇の気配が感じられたら借り換えを検討してみるのも1つの方法です。

繰り上げ返済を検討する

繰り上げ返済も金利上昇リスクを軽減する効果的な方法の1つです。

残債を一度に残額返済できれば全く問題ありませんが、住宅ローンは借入規模も比較的大きいため、一括で返済することは簡単ではありません。

そのため、元金の一部を無理のない範囲内で返済する繰り上げ返済を検討する人が多くなっています。

繰り上げ返済には、返済期間短縮型と返済額軽減型の2種類があります。それぞれ説明していきます。

返済期間短縮型

返済期間短縮型は、毎月の返済額を変えずに、繰り上げ返済した分だけ返済期間(年数)を軽減する方法です。

返済年数が軽減することで支払う金利も軽減されるため、総支払金額が低く抑えられるメリットがあります。

しかし、金利上昇局面においては、毎月の返済額も上昇するため、短縮する返済年数と毎月の返済額のバランスを調整する必要があります。

返済額軽減型

返済額軽減型は、返済期間を変えずに、毎月の返済額を軽減する方法です。

返済年数が変わらないため返済期間短縮型に比べて総支払額は多くなりますが、毎月の返済額を軽減できるメリットがあります。

金利上昇局面では、毎月の返済額を軽減すると捉えるより、金利上昇分を抑えて現在と同額の返済額を維持する方法と捉えたほうがよいでしょう。

金利が上がる前提でシミュレーションしておく

金利が上昇することを前提に、各金融機関のウェブサイトで住宅ローンのシミュレーションをしておきましょう。

返済を始めてから経過した年数や残債額を明確にして、金利が上昇する幅を設定してシミュレーションしましょう。

残債額が多く残っている人ほど、金利が上昇した場合の月額負担額が大きくなることが実感できるでしょう。

予測に基づいて事前に繰り上げ返済計画や貯蓄計画を立てておくことをおすすめします。

キャッシュフロー表を作成する

上記のシミュレーションと合わせて、金利が上がった場合のキャッシュフロー表を作成すると、金利上昇による家計への影響を把握できます。

キャッシュフロー表とは、毎年の収入と支出、貯蓄額を算出して収入状況をチェックし、悪化した場合は原因を究明できるツールです。

支出項目などを細かく規定するほど、支出が家計を圧迫しているのかを明確に把握できるでしょう。

住宅ローン返済に充てる支出額を、金利が上昇した場合の予測数値に変更してみて、どれだけ収支が悪化するかチェックしましょう。

その上で、どの支出を減らせるか、どの収入を増やすかなどの検証を事前にしておきましょう。

住宅ローン金利の今後に関するよくある質問

ここでは、住宅ローン金利の今後に関してよくある質問をまとめます。

・金利における10年後の予想は?
・住宅ローン金利が今後上がる可能性はある?
・変動金利は今後上がらないって本当?

順番に回答していきます。

住宅ローン金利における10年後の予想は?

結論からいえば、住宅ローンの変動金利が今後10年間で上昇する可能性はそれほど高くないといえます。

変動金利に影響を及ぼす短期金利が上昇するためには、物価上昇に乗じて賃金も上昇し、安定的にインフレ率2%が達成される状況になることが必要です。

物価が上昇しても賃金が上がらないうちは、金融緩和策を解除することは困難であるといえます。

そのため、仮に変動金利が上昇したとしてもかなり低い上昇に留まり、極端な金利上昇の可能性は低いでしょう。

住宅ローン金利が今後上がる可能性はある?

住宅ローン金利が今後上がる可能性はないとはいえません。

物価上昇に加えて安定的に賃金の上昇が見込まれるのは、バブル期に入社した世代が退職して以降の2035年頃からである可能性が高いでしょう。

ただし、2035年頃からは人口減少が本格化して国内の経済力も現在よりさらに減退している可能性が高いため、それほど金利が上がらないと想定されます。

この点から、住宅ローン金利は上げたくてもなかなか上げられない状況が継続するでしょう。

変動金利は今後上がらないって本当?

前述した通り、賃金の安定的な上昇やインフレ率2%の恒常化に加えて、国内経済が現状維持されないと、金利を政策的に上げることは困難です。

加えて、変動金利は顧客獲得のためにネット銀行、メガバンク、地方銀行が競争しているため、すぐには上昇傾向にはならないでしょう。

住宅ローン金利は今後を考えながらシミュレーションしよう

現在は、金利を上げたくても上げられない状態にあるといえます。そのため、現時点で期間限定型の固定金利を選択することはあまりおすすめできません。

仮に10年間金利が固定されたとしても、10年経過したあとの金利下げ幅は今までの10年間に比べてかなり小さい商品が多いからです。

10年後に金利が上昇した場合、さらに毎月の負担が大きくなります。そのため、固定金利を選択したい場合は、全期間固定型も合わせて検討するようにしてください。

今後、堅実に住宅ローンを返済していくためには、国内・海外の情勢をチェックしながら金利上昇した場合に備えて自らシミュレーションしておくことが大切です。

仮に金利が上昇しても、シミュレーションに基づいた収入アップや貯蓄などで繰り上げ返済できるように準備しましょう。

四季工房では、住宅ローンの相談会も行っています。借り換えや繰り上げ返済を考えている人はお気軽にショールームへお越しください。

四季工房へ資料請求する