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住宅購入の贈与税は非課税にできる?利用条件や令和4年度の改正内容も

この記事では、住宅購入の贈与税は非課税にできるのかを解説していきます。

マイホームは、一生の中で最も大きな出費を伴う買い物の1つです。

そのため、頭金の一部を両親や祖父母からの援助(贈与)に頼る人も少なくありません。

身内から贈与を受ける際、住宅取得資金を援助してもらう場合の贈与税について気になるでしょう。

本記事では、住宅取得資金贈与の非課税の特例や利用条件、令和4年度の改正点について解説します。

資金援助を受けて住宅を購入する予定の人はぜひ最後までお読みください。

【この記事でわかること】
・贈与税とは
・住宅取得資金贈与の非課税額
・住宅取得資金の非課税の特例を受けられる適用条件
・令和4年度の改正点
・住宅取得資金の非課税の特例を利用する際の注意点

そもそも贈与税とは?

そもそも贈与税とは?

贈与税とは、贈与によって財産を移転した際に受贈者に対して課される税金のことです。

住宅購入の際に押さえておきたい贈与税のポイントは以下の2点です。

・暦年課税
・相続時精算課税

それぞれ見ていきましょう。

暦年課税

暦年課税とは、毎年110万円以内以上を贈与したり受け取ったりする際に、110万円を超えた部分に課税される税金のことです。

贈与者や受贈者に制限はなく、贈与税の申告も110万円を超えた場合にのみ必要で、110万円以下の場合は申告する必要はありません。

ただし、後述する相続時精算課税制度の利用後は、適用されないので注意してください。

相続時精算課税

相続時精算課税制度は、贈与してくれた人の相続が発生するまでの間において、2,500万円以内であれば無税で贈与できる制度です。

贈与者には、贈与をした年の1月1日における60歳以上の父母・祖父母が該当します。

一方で、受贈者は、受贈した年の1月1日時点で20歳以上の推定相続人及び孫です。

2,500万円を超える贈与の場合は、2,500万円を超えた金額に対して一律20%の贈与税が課税されるので注意しましょう。

贈与者が死亡した場合は、相続されたとして相続税が課税されます。

住宅購入の贈与税は最大1,000万円が非課税に

住宅購入の贈与税は最大1,000万円が非課税に

住宅購入の贈与税は、最大1,000万円まで住宅取得資金の贈与が非課税になります。

次に、住宅性能ごとの非課税限度額について解説していきます。

住宅性能ごとの非課税限度額

住宅取得資金の贈与は、省エネ住宅の場合は1,000万円まで、それ以外の一般住宅は500万円までが非課税になります。

省エネ住宅とは、以下の3つの省エネ基準をクリアしている住宅のことです。

この基準をクリアしたことを証する”住宅性能証明書”などを贈与税の申告書に添付して申告しなければ、非課税の特例措置は受けられません。

【省エネ住宅基準】
・断熱性能等級4以上または一次エネルギー消費等級4以上であること
・耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物であること
・高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること

※参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

省エネ住宅の基準を満たす場合は、非課税枠が拡大されることを知っておきましょう。

住宅取得資金贈与の非課税の特例を利用する条件

住宅取得資金贈与の非課税の特例を利用する条件

ここでは、住宅取得資金贈与の非課税の特例を利用する際に押さえておきたい3つの条件について解説します。

・受贈者に対する条件
・住宅に対する条件
・その他の条件

1つずつ見ていきましょう。

受贈者に対する条件

非課税の特例を受けるためには、受贈者は以下の全ての条件を満たさなければなりません。

・贈与を受けたときに贈与者の直系卑属(子・孫等)であること、及び贈与者は受贈者の直系尊属(父母・祖父母など)であること
・贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること
・贈与を受けた年の所得税に係る合計所得金額が、2,000万円以下(新築する住宅用の家屋面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)であること
・平成31年(令和元年)から令和3年分までの贈与税の申告で、住宅取得資金の非課税の特例を受けたことがないこと
・自己の配偶者や親族など特定の関係がある人から住宅用家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約により新築したものではないこと
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得資金の全額を充当して住宅用の家屋を新築すること
・贈与を受けたときに日本国内に住所を有していること
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その家屋に居住すること、または3月15日以後遅滞なくその家屋に居住することが確実であること

※参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

多くの条件があるため、当てはまっているかを1つずつ確認しましょう。

住宅に対する条件

非課税の特例を受けるためには、住宅について以下の要件を満たさなければなりません。

・新築または取得した住宅用家屋の登記簿上の床面積が40㎡以上240㎡以下で、かつその床面積の1/2以上が受贈者によって居住のために使用されること
・取得した住宅が次のいずれかであること
   ・新築住宅であること
   ・昭和57年1月1日以降に建築された中古住宅
・中古住宅で、地震に対する安全性において一定の基準を満たすことが証明されていること
・中古住宅で、その取得の日までに家屋の耐震改修工事を行い、翌年の3月15日までに耐震基準を満たした家屋であることが証明書等によって証されていること

※参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

新築住宅の場合に満たす必要がある条件と、中古住宅の場合に満たす必要がある条件があることに注意しましょう。

その他の条件

非課税の特例を受けるために申告する場合は、以下の手順を守らなければなりません。

・贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに納税地の所轄税務署に申告すること
・贈与税の申告書にあわせて戸籍謄本・請負(売買)契約書の写しなど一定の添付書類が必要
・個人番号カード等、本人確認書類の写しを用意し、かつ持参すること

※参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

複数の書類が必要になるため、事前に準備しましょう。

【令和4年度】住宅取得資金贈与の非課税の特例の改正内容

【令和4年度】住宅取得資金贈与の非課税の特例の改正内容

令和4年度(2022年度)の税制改正に伴い、住宅取得資金贈与に関する要件が見直されました。

押さえておきたい改正ポイントは以下の4点です。

・受贈者の年齢
・適用期間
・限度額
・築年数の要件

順番に見ていきましょう。

受贈者の年齢

受贈者の年齢については、以下のように改正されました。

改正前改正後
贈与を受けた年の1月1日において20歳以上贈与を受けた年の1月1日において18歳以上

2022年4月1日以降成人年齢が引き下げられたことに伴い、改正後は18歳以上に適用されることになりました。

適用期間

適用期間は、税制改正によって以下のように変更されました。

改正前改正後
2021年(令和3年)12月31日まで2023年(令和5年)12月31日まで

2年間延長され、2023年末までの適用期間になっています。

限度額

非課税措置が2年間延長したことに伴い、非課税枠が500万円縮小されました。


2020年4月1日〜2021年12月31日2022年1月1日〜2023年12月31日
省エネ住宅1,500万円1,000万円
それ以外の住宅1,000万円500万円

暦年贈与(贈与税の基礎控除)の110万円とは併用できます。

築年数の要件

中古住宅を取得する場合の築年数条件が、以下のように変更されました。

改正前改正後
取得の日以前20年以内(耐火建築物は25年以内)に建築されたもの1982年(昭和57年)1月1日以降に建築されたもの

中古住宅に非課税特例を適用させるためには、一定の耐震性の基準値をクリアしなければなりません。

住宅取得資金贈与の非課税の特例を利用する際の注意点

住宅取得資金贈与の非課税の特例を利用する際の注意点

ここでは、住宅取得資金贈与の非課税の特例を利用する際に注意すべき点について解説します。

・贈与税が0円の場合でも確定申告が必要になる
・小規模宅地等の特例との併用はできない
・状況によっては相続争いの原因になり得る
・税務署に申告しないと必ずバレる

順番に見ていきましょう。

贈与税が0円の場合でも確定申告が必要になる

住宅取得資金の贈与を受けた結果、贈与税が非課税となり納税額が0円になったとしても、贈与税を申告しなければなりません。

申告しない場合だけでなく、申告書の提出が1日でも遅れた場合にも、特例は適用されなくなってしまうので十分注意してください。

小規模宅地等の特例との併用はできない

小規模宅地等の特例とは、相続した土地の相続税評価額を最大80%減額できる制度のことです。

例えば、4,000万円の評価額の土地であれば800万円まで引き下げられます。

小規模宅地等の特例は、自分の持ち家を持つ人が親の自宅を相続しても適用されません。

そのため、住宅取得資金贈与の特例を適用してマイホームを取得してしまうと、将来的に小規模宅地の特例を受けられなくなります。

「将来実家を相続するまでは賃貸で十分だ」と考えている人は、小規模宅地の特例を適用することをおすすめします。

状況によっては相続争いの原因になり得る

子供が複数いる場合、1人の子供だけに住宅取得資金を贈与すると相続争いの原因になる可能性があるので注意しましょう。

相続税法上、親が生前に贈与した分は、相続発生後に特別受益分として相続分から差し引いて分割されます(※)。

そのため、住宅資金贈与の時期や金額について明確な記録が残っていないと、兄弟姉妹間で認識に齟齬が生じ、相続争いに発展するおそれがあります。

※:「事前に取得した受益分として相続分から差し引ける」という規定があるだけで、遺言や分割協議により相続分は任意に分割可能

税務署に申告しないと必ずバレる

税務署に対する無申告は、以下の手法で確実に指摘を受けます。

・不動産購入後に税務署から送付される調査書類「お尋ね」から発覚する
・贈与者に相続が発生した際の税務調査で発覚する
・現金振込・手渡しも金融機関の手続きがあった内容を精査され発覚する

以上の手順を踏むことで、ほぼ間違いなく無申告は発覚するので、必ず期限までに申告してください。

無申告が発覚した場合には、無申告加算税が課されます。

この無申告加算税は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するものについては、納付すべき税額に対して以下の税率が課されます。

部分税率
50万円までの部分15%
50万円を超え300万円までの部分20%
300万円以上の部分30%

※参考:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

無申告の内容によっては延滞税や重加算税も課される場合があるので、十分注意してください。

住宅購入の贈与税に関するよくある質問

住宅購入の贈与税に関するよくある質問

ここでは、住宅購入の贈与税に関してよくある質問を取り上げます。

・住宅取得資金贈与を頭金にしないと非課税にならない?
・住宅取得資金贈与の申告が3月15日に間に合わないとどうなる?
・住宅取得資金贈与のタイミングは?

順番に回答していきます。

住宅取得資金贈与を頭金にしないと非課税にならない?

住宅取得資金の贈与金は、住宅の頭金など、住宅を購入するために使用しなければ非課税になりません。

注意したい点は、新居購入の際に用意する家具や電化製品の購入に充てても非課税にならないことです。

住宅建築に関する費用(建築業者に支払う費用)に充当して申告しましょう。

住宅取得資金贈与の申告が3月15日に間に合わないとどうなる?

申告期限に遅れると、住宅取得資金贈与の非課税の特例は受けられません。

さらに、本来の相続税に加えて無申告加算税や延滞税、重加算税といったペナルティも支払わなければならなくなるので十分注意してください。

住宅取得資金贈与のタイミングは?

贈与のタイミングは、住宅取得の前であることが必須条件です。

また、非課税の特例を受ける要件として「贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得贈与金の全額を充てた上で家屋を新築すること」と規定されています。

住宅購入の贈与税は非課税制度を賢く活用しよう

住宅購入の贈与税は非課税制度を賢く活用しよう

マイホーム購入は、ほとんどの人にとって一生に一度の大きな買い物です。

多額な資金が必要になるので、両親や祖父母からの住宅資金援助は非常にありがたいものです。

両親や祖父母から資金援助を受けられる場合には、贈与税の非課税制度を賢く利用しましょう。

しかし、両親や祖父母からの資金援助は、税法上贈与に該当します。

そのため、間違った認識は多大な贈与税を納税するばかりか、ペナルティ税まで支払う事態になりかねません。

住宅取得資金贈与の非課税の特例を利用する際は、税理士やハウスメーカーなどに相談して、申告漏れや期限忘れをしないように手続きしましょう。

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