
コラム
住宅ローンの借入額は年収の何倍が目安?返済負担率を下げるポイントも
この記事では、住宅ローンの借入額は年収の何倍が目安なのか解説します。
住宅を購入する際に、多くの人が住宅ローンを利用します。
借入額を決定する場合、土地代や物件価格、貯金額、年収倍率を考慮することが重要です。
年収倍率とは、借入額が年収の何倍であるかを示します。
年収倍率が高いほど返済が厳しくなるので、借入額を考える際は注意が必要です。
この記事では、年収から住宅ローン借入額を考えるときの注意点も解説します。
住宅ローンの借入を検討している人や借入額で悩んでいる人はぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
・住宅ローン借入額は年収の6〜8倍程度が目安
・住宅ローンの返済負担率を下げるポイント
・年収から住宅ローン借入額を考えるときの注意点
住宅ローン借入額は年収の6〜8倍程度が目安

住宅金融支援機構が行っている『2022年度 フラット35利用者調査』によると、住宅ローンの借入額は年収の6〜8倍程度が目安といえます。
上記調査によれば、住宅の所要資金を年収で割った「年収倍率」は以下の通りです。
融資区分 | 年収倍率 |
土地付注文住宅 | 7.7倍 |
注文住宅 | 6.9倍 |
建売住宅 | 6.9倍 |
中古戸建 | 5.7倍 |
マンション | 7.2倍 |
中古マンション | 5.9倍 |
新築住宅を購入する場合、総費用は年収の約7〜8倍が目安といえます。
一般的に住宅購入では、頭金として所要資金の1〜2割を現金として用意することを踏まえると、借入額は所要資金の8〜9割になるでしょう。
したがって、住宅ローン借入額は年収の6〜8倍程度になるといえます。
無理なく返せる返済負担率の基準
住宅ローンの返済負担率は、返済負担を想定する基準として非常に重要です。
1つの基準として、返済負担率は30%以下にすることをおすすめします。
返済負担率とは、年間の住宅ローン返済額が年収に占める割合を指します。返済負担率を抑えることで、無理のない返済計画が立てられます。
返済負担率ごとの負担の重さは以下の通りです。
返済負担率 | 負担の重さ |
〜20% | 無理のない返済ができる家計への影響が少なく、将来の収入変動にも柔軟に対応できる |
20〜25% | 多くの家庭がローンを組んでいる安定した返済が期待できるが、突発的な出費には注意が必要 |
25〜30% | やや高めの負担率である収入が安定している場合は問題なく返済できる |
30%〜 | リスクが高く家計に対する負担も大きいため注意が必要 |
住宅ローンを組む際には、慎重な資金計画と将来のリスクを十分に考慮して、返済負担率は30%以下にすると良いでしょう。
住宅ローンの返済負担率を下げるポイント

ここでは、住宅ローンの返済負担率を下げるポイントについて解説していきます。
・なるべく頭金を多めに用意する
・金利が低い機関を利用する
・返済期間を長めに設定する
順番に見ていきましょう。
なるべく頭金を多めに用意する
頭金を多く用意することで、借入額を減らせ、結果として毎月の返済額が抑えられます。
物件価格の1〜2割を頭金として準備することが一般的です。頭金を用意する金額を大きくすることで、借入金利の負担も軽減され、総返済額が少なくなります。
また、頭金を多めに用意することで、金融機関からの信頼度が高まり、より良い条件での融資が受けやすくなります。
ただし、頭金の金額を用意しすぎて手持ちの現金が少なくなると、突発的な支出に対応できないおそれがあるため注意が必要です。
金利が低い機関を利用する
住宅ローンの金利は、金融機関によって異なります。
金利が低いほど総返済額も少なくなるので、複数の金融機関を比較し、最も低い金利を提供している機関を選ぶことが重要です。
また、固定金利と変動金利のどちらが適しているかも検討する必要があります。
変動金利は一時的に低くても将来の金利上昇リスクがあるため、自分の返済計画に合った金利タイプを選びましょう。
返済期間を長めに設定する
返済期間を長く設定することで、月々の返済額を抑えられます。
毎月の家計に余裕が生まれ、他の生活費や貯蓄に回せる資金が増えるでしょう。
ただし、返済期間を長くすることで総利息額が増える点に注意が必要です。
高齢での完済を避けるために、自分の退職年齢も考慮しつつ返済期間を設定しましょう。
年収から住宅ローン借入額を考えるときの注意点

ここでは、年収から住宅ローン借入額を考えるときの注意点について解説します。
・年収=手取りではない
・金利の変動を考慮する
・年収の変動を考慮する
・家計状況を考慮する
・完済時の年齢を考慮する
順番に見ていきましょう。
年収=手取りではない
まず、年収と手取り収入は異なる点に注意しましょう。
年収は、税金や社会保険料などが引かれる前の金額であり、実際に手元に残る手取り収入とは大きな差があります。
手取り収入こそが、実際に生活費やローン返済に充てられる金額です。
住宅ローンを考える際には、手取り収入を基に返済計画を立てることが大切です。
例えば、年収500万円の場合、手取り収入は約400万円になります。この実際の手取りを基に、無理のない返済額を計算する必要があります。
金利の変動を考慮する
金利の変動リスクを考慮した上で、住宅ローン借入額を考えると良いでしょう。
住宅ローンの金利は固定金利と変動金利の2種類があります。
固定金利は一定期間、金利が変わらないため、将来の返済計画が立てやすい点がメリットです。
変動金利は経済状況により金利が変動し、現在の金利が低くても将来的に上昇するリスクがあります。
金利が上昇すると毎月の返済額が増え、家計を圧迫するおそれがあります。
変動金利を選ぶ際には、金利が上昇した場合のシミュレーションを行い、無理のない範囲で返済できるかを確認することが重要です。
年収の変動を考慮する
年収は一定ではなく、さまざまな要因で変動します。
転職やリストラ、業績の変動などにより、収入が減少するリスクを考慮することが必要です。
特に、変動金利でのローンを組む場合、収入が減ったタイミングと金利が上昇するタイミングが重なると、返済が難しくなることがあります。
そのため、安定した収入が見込めない場合は、控えめな借入額を設定することが重要です。
また、自営業者やフリーランスの場合、収入の変動が大きいため、特に慎重な計画を立てなければなりません。
家計状況を考慮する
住宅ローンの返済計画を立てる際には、家計全体の収支バランスを考えることが必要です。
毎月の生活費や教育費、車のローンなど、他の支出と合わせて無理のない返済計画を立てることが大切です。
また、子供の進学費用や老後の生活費といった将来の支出も考慮に入れたほうが良いでしょう。
返済負担率として、30%以内に抑えることをおすすめします。
完済時の年齢を考慮する
住宅ローンの返済期間を設定する際には、完済時の年齢も重要なポイントです。
一般的には、定年退職前にローンを完済することが望ましいでしょう。
例えば、35歳で35年ローンを組むと、完済時には70歳になります。
定年退職後の収入の減少を考慮すると、退職前にローンを完済するか、退職後も無理なく返済できるプランを立てたほうが良いでしょう。
金融機関によっては、完済時の年齢を80歳に設定している場合もありますが、高齢でのローン返済はリスクが伴うため注意が必要です。
年収別に住宅ローンの返済額をシミュレーション

ここでは、年収別の住宅ローン借入限度額とそのときの毎月の返済額について、フラット35のシミュレーションを利用して解説していきます。
条件は以下の通りです。
【条件】
・金利:年1.950%全期間固定金利
・借入期間:35年元利均等返済
・他の借入金なし
・ボーナス払いなし
以下の年収のケースについて解説していきます。
・年収300万円
・年収400万円
・年収500万円
・年収600万円
順番に見ていきましょう。
※参考1:年収から借入可能額を計算:【フラット35】|住宅金融支援機構
※参考2:借入希望金額から返済額を計算:【フラット35】|住宅金融支援機構
年収300万円
年収300万円でシミュレーションした結果は以下の通りです。
借入限度額 | 返済総額 | 毎月の返済額 |
2,281万円 | 3,150万円 | 7.5万円 |
年収300万円の手取りは、年間で約240万円、月間で約20万円です。
ローン返済額を考慮すると、自由に使える金額は毎月約12.5万円となります。
生活費やその他の出費を考慮すると、余裕が少ないので経済的な安定性にはやや欠けるでしょう。
借入限度額も低めで、住宅購入の選択肢が限られる場合があります。
年収400万円
年収400万円でシミュレーションした結果は以下の通りです。
借入限度額 | 返済総額 | 毎月の返済額 |
3,549万円 | 4,900万円 | 11.7万円 |
年収400万円の手取りは、年間で約315万円、月間で約26.3万円です。
ローン返済額を考慮すると、自由に使える金額は毎月約14.6万円となります。
少し余裕はありますが、生活費や予期せぬ出費には注意が必要です。
借入限度額が増えることで、選べる住宅の範囲が広がりますが、慎重な資金管理が求められます。
年収500万円
年収500万円でシミュレーションした結果は以下の通りです。
借入限度額 | 返済総額 | 毎月の返済額 |
4,436万円 | 6,125万円 | 14.6万円 |
年収500万円の手取りは、年間で約400万円、月間で約33.3万円です。
ローン返済額を考慮すると、自由に使える金額は毎月約18.4万円となります。
ある程度の余裕が生まれ、生活費をカバーするだけでなく、貯蓄や娯楽、予期せぬ出費にも対応できるでしょう。
借入限度額も高くなるため、理想の住宅を選択する余地が増えます。
年収600万円
年収600万円でシミュレーションした結果は以下の通りです。
借入限度額 | 返済総額 | 毎月の返済額 |
5,323万円 | 7,349万円 | 17.5万円 |
年収600万円の手取りは、年間で約460万円、月間で約38.3万円です。
ローン返済額を考慮すると、自由に使える金額は毎月約20.8万円となります。
生活費や貯蓄、娯楽に十分対応できるだけでなく、予期せぬ出費にも柔軟に対応可能です。
借入限度額が高いため、広範囲で住宅を選択できるでしょう。
年収と住宅ローンに関するよくある質問

ここでは、年収と住宅ローンに関するよくある質問に回答していきます。
・住宅ローンの年収倍率の計算方法は?
・住宅ローンは年収の10倍でも借りられる?
疑問の解消にお役立てください。
住宅ローンの年収倍率の計算方法は?
住宅ローンを組む際に重要なのが、年収倍率です。
年収倍率は、ローンの借入額が年間の収入の何倍であるかを示します。
計算式は以下の通りです。
年収倍率=借入額÷年収 |
例えば、借入額が2,500万円、年収が500万円の場合、年収倍率は5倍になります。
年収倍率の目安は金融機関や個々の状況によって異なりますが、5〜7倍程度の人が多いとされています。
住宅ローンは年収の10倍でも借りられる?
住宅ローンは年収の10倍でも借りることは可能です。
ただし、自身の年収や他の借入状況、金融機関の商品や審査における判断によっても異なります。
年収の10倍もの住宅ローンを借りるのはリスクが高いため、金融機関による審査は慎重になることが多くあります。
返済負担率も高くなる傾向にあるため、可能であれば借入額を下げることが望ましいでしょう。
住宅ローンの借入額は年収倍率を意識しよう

住宅ローンの借入をする場合、理想のマイホームをつくるために必要な土地代や住宅にかかる費用、諸費用を考えることは非常に重要です。
また、年収倍率も考慮して借入額を検討することをおすすめします。
返済負担率が高くなると生活費が圧迫され、返済が滞るリスクもあります。
専門家に相談しながら、自身の収入や生活費を十分に考慮し、無理のない範囲で計画を立てましょう。
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