コラム
自己破産すると住宅ローンはどうなる?周囲への影響や審査のポイントも
この記事では、自己破産した場合の住宅ローンについて解説していきます。
自己破産は、借金の返済が困難になった際に利用できますが、住宅ローンや持ち家にも大きな影響を与えます。
手続きを申し立てる前に、多くの知識を蓄えておくことが必要です。
この記事では、自己破産によって周囲に生じる影響も解説します。
無理のない資金計画を立てながら住宅を購入したい人は、ぜひ最後までお読みください。
【この記事でわかること】
・自己破産すると住宅ローンや持ち家に起こること
・自己破産による周囲に対する住宅ローンの影響
そもそも自己破産とは?
そもそも自己破産とは、借金の返済がどうしてもできなくなった場合に、裁判所に申し立てを行い、借金の支払い義務を免除してもらう手続きです。
自己破産は、借金を抱えている人が生活を立て直すための最終手段とされています。
自己破産が認められると、借金は基本的に全て帳消しされる一方、財産の一部を処分しなければならないこともあります。
また、一定期間クレジットカードやローンの利用が制限されるなどのデメリットもあります。
自己破産とよく混同される手続きとして、個人再生があります。
個人再生との違い
個人再生は、借金の全額免除を求めるのではなく、借金を大幅に減額し、残った金額を原則3年(最長5年)で返済する計画を立てる手続きです。
一定の収入がある場合に、生活の基盤を保ちながら借金を返済できます。
自己破産と個人再生の違いとして、4つの点を比較していきます。
ポイント | 自己破産 | 個人再生 |
免除される借金額 | 基本的に全額免除される | 5分の1から10分の1まで減額される |
処分される財産 | 20万円以上の価値のある財産は処分される | 住宅ローン特則が利用できる場合、家は処分されないローンが残っていなければ車は処分されない |
免責不許可事由 | あり | なし |
資格制限 | あり | なし |
大きな違いは、自己破産が全ての借金を帳消しにする一方で、個人再生は減額された借金を計画的に返済していく点です。
また、個人再生では住宅ローン特則という制度を利用することで、住宅を手放さずに済む可能性があります。
自己破産すると住宅ローンや持ち家はどうなるのか
自己破産すると、住宅ローンや持ち家について以下のことが起こります。
・ローン残債は免除される
・約7年間は住宅ローンを組めなくなる
・持ち家は換価処分される
順番に解説していきます。
ローン残債は免除される
自己破産が裁判所に認められると、基本的には住宅ローンを含む全ての借金の返済義務が免除されます。
債権者は手続きをしなければ債権を回収できなくなり、督促状の送付などの強制執行が行えなくなります。
また、滞納している税金について国税局から徴収されることもなくなるでしょう。
約7年間は住宅ローンを組めなくなる
自己破産をすると、事故情報が個人信用情報機関に登録されます。
情報は金融機関にも共有され、約7年間は新たに住宅ローンを組むことが難しくなります。
多くの金融機関は、個人信用情報を参考にしながら融資の判断を行い、自己破産の記録があるとローン審査に通ることはほとんどありません。
信用情報機関では、事故情報は通常5年から10年程度保持されます。
新たな借り入れやクレジットカードの発行も難しくなるため、再度住宅ローンを組むことは非常に厳しいといえます。
持ち家は換価処分される
自己破産の手続きが進むと、持ち家は通常、換価処分されます。
換価処分とは、破産管財人に選定された弁護士が、債務者の財産を売却し、売却益を借金返済に充てる手続きです。
換価処分の手続きの中で、持ち家は手放さなければならなくなります。
自己破産による周囲に対する住宅ローンの影響
ここでは、自己破産によって周囲へどのような影響が生じるのか解説していきます。
・連帯債務者
・連帯保証人
・物上保証人
・ペアローン
順番に見ていきましょう。
連帯債務者
連帯債務者とは、住宅ローンを一緒に借りている人のことです。
例えば、2人で住宅ローンを組んでいる場合、一方が自己破産すると、残ったローンの返済義務は全て他方が負わなければなりません。
自己破産した人の返済義務は免除されますが、連帯債務者の返済義務は免除されません。
したがって、債務者が返済できなくなった分を連帯債務者が全額支払う必要があり、経済的な負担が大幅に増えることになります。
連帯保証人
連帯保証人とは、借り手がローンを返済できなくなった場合に、代わりに返済する義務を負う人のことです。
自己破産により債務者が返済できなくなると、連帯保証人に返済義務が移ります。
連帯保証人は、借り手と同じように全額返済の責任を負います。
債務者が自己破産をした場合、連帯保証人は突然大きな借金を背負うことになるでしょう。
連帯保証人が負担に耐えられない場合、自身も自己破産しなければならないケースがあります。
物上保証人
物上保証人とは、債務者の住宅ローンを担保するために自分の財産を提供している人のことです。
例えば、親が自分の家を担保にして子供の住宅ローンを保証する場合が挙げられます。
自己破産が行われると、債務者の返済義務が免除されますが、担保に設定された物上保証人の財産は、ローンの返済に充てられることになります。
物上保証人の財産が差し押さえられ、売却代金が借金の返済に充てられるでしょう。
ペアローン
ペアローンとは、夫婦など2人でそれぞれ別々に住宅ローンを組み、お互いが連帯保証人となり、共同で返済していく形式のローンです。
一方が自己破産すると、自己破産した人のローン返済義務は免除されます。
しかし、他方は連帯保証人になっているため、2人分のローン返済義務を負わなければならなくなります。
場合によっては、共同で購入した住宅を売却し、売却代金をローンの返済に充てなければならないでしょう。
自己破産と住宅ローンに関するよくある質問
ここでは、自己破産と住宅ローンに関するよくある質問に回答します。
・自己破産できないケースはある?
・自己破産でも自宅を手放さずに住宅ローン残債を整理する方法は?
・自己破産の直後に住宅ローンを組めるケースはある?
疑問の解消にお役立てください。
自己破産できないケースはある?
自己破産は住宅ローンの返済が困難になった場合の最終手段といえるので、できないケースは少ないといえます。
ただし、一般的に自己破産は全てのケースで認められるわけではありません。
以下の場合、自己破産が認められないことがあります。
・債務の支払いができる
・免責不許可事由に該当する
免責不許可事由としては、例えば以下が挙げられます。
・ギャンブルや浪費が原因の借金である
・故意に財産を隠している
・裁判所に虚偽の説明をする
・前回の自己破産から7年以内である
手続きを進める際は、正直に申告することが重要です。
自己破産でも自宅を手放さずに住宅ローン残債を整理する方法は?
自己破産すると、原則として自宅を手放さなければなりません。
しかし、以下の方法を取れば、今後も住み続けられるでしょう。
・リースバックを活用する
・破産者以外が適正価格で購入する
リースバックとは、自宅を売却した後に買主と賃貸借契約を結び、売却した自宅に賃貸料を支払いながらそのまま住み続ける方法です。
今後買い取る意思がある場合は、その旨を伝えて「再売買の予約」をしておくと、資金を用意すれば家を買い取ることも可能です。
また、破産者以外なら適正価格で家を購入できます。
ただし、相場の価格で現金一括で購入しなければならないため、ハードルは高いといえます。
自宅を手放さずに住み続けたい人は、個人再生を利用するのが現実的です。
個人再生の中で住宅資金特別条項を設けた再生計画を立てることで、住宅ローン返済を続けながら、その他の借金は減額させられます。
自己破産の直後に住宅ローンを組めるケースはある?
一般的に、自己破産の直後に住宅ローンを組むことは非常に困難です。
なぜなら、自己破産の情報は個人信用情報機関に登録され、5〜10年間は記録が残るからです。
新たな借り入れが制限され、住宅ローンを組むことはほぼ不可能です。
ただし、どうしても住宅ローンを組んで住宅を購入したい場合は、家族名義で審査に申し込む方法があります。
配偶者や親に自己破産の影響は及ばないので、了承得られれば可能です。
自己破産は住宅ローンや持ち家に大きな影響を及ぼす
一度自己破産すると、住宅ローンの返済義務は免除されるものの、持ち家は換価処分され、これまで通り住み続けられなくなるでしょう。
また、約7年間は新たな住宅ローンを組むことが難しくなるほか、連帯債務者や連帯保証人、物上保証人にも大きな負担がかかります。
返済で困窮してなるべく自己破産しないためには、住宅を購入する段階で無理のない返済計画を立てることが重要です。
不明点や疑問点は専門家に相談しながら、資金計画を立てましょう。
四季工房は、関東圏や福島県を中心にエアパス工法と自然素材を使用した注文住宅の実績があります。
展示場に来店していただければ、家づくりだけでなく、住宅購入前の資金計画についても相談できます。
住宅ローンや家づくりで悩みを抱えている方は、ぜひ四季工房にお問い合わせください。